円買い介入を主導?神田財務官とは?
1965年1月17日に兵庫県西宮市生まれの57歳。灘中、灘高を経て東大法学部卒業、1991年にオックスフォード大経済学修士を取得し、大蔵省に入省。その後、1993年7月に仙台国税務局を経て、為替市場課長補佐や主計局主計官を経験し、2020年7月に国際局長、昨年7月に財務官として国際金融等を統括。この間、2003年1月から2004年にかけて円売り・ドル買い介入が実施された際、当時の溝口財務官の下、財務省国際局為替市場課におり、介入を指示する現場を経験したとされます。
過去の市場介入を参考?
前月9月22日に実施された円買い介入は、1998年以来、24年ぶりとなりましたが、ドル買い介入を含めると、1998年から1999年にかけての市場介入の後、2000年から2002年12月まで介入は実施されていません。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
2003年5月から2004年にかけて円売り・ドル買い介入が実施された際、溝口財務官の下でおよそ1年に渡り、毎月のように実施されたドル買い・円売り介入の際、神田財務官は、当時、財務省国際局為替市場課におり、介入を指示する現場を経験した人物とされています。前月9月に実施された円買い介入ですが、おそらく財務省内で為替介入の現場を経験した人物が数少ないと推察される中、神田財務官は介入の実務経験者として過去の経験が生かされたのではとの観測も聞かれます。2003年から2004年にかけて、介入実施の有無を市場に公表しない「覆面介入」のほか、NY連銀への「委託介入」が行われました。
先週末21日のNY市場で一時151円95銭まで上昇したドル円は、その後、146円台前半へ急落。当局からの発表はないものの、「円買い介入?」に踏み切ったとして「覆面介入」が行われたのでは?と見られています。2003年から2004年にかけて行われた手法を踏襲するとすれば、1)「覆面介入」 2)毎月のように断続的な介入 3)NY連銀への「委託介入」があるか、当面注目されることになるかもしれません。また、週明け24日の東京市場でも先週末に続き、「覆面介入」と思われる?動きが観測されました。
市場介入の効果は?
1)ドル売りの原資が限られているとみられること 2)為替介入により、投機的なドル買い・円売りを誘発する可能性があること 3)高インフレの続く米国が、日本と協調して介入を行う公算は小さいと思われること 4)日本の単独介入に理解を示しつつも、行き過ぎたドル売り介入をいつまでも容認するか懐疑的な見方があること 5)日銀の緩和政策と円買い介入との政策に一貫性が欠けることもあり、効果がどこまであるか、疑問視する見方も聞かれます。
また、国際決済銀行(BIS)が3年に一度実施している調査での最新の数値というものの、2019年4月時点ですが・・世界中の外国為替市場での1日の取引額は6.6兆ドル。
そのうち、東京市場の1日あたりの平均取引高は3,755億ドルとされています。(注意:2019年当時と現状で金額に相違がある可能性)現時点のドル円(148円00銭)で換算すると55.87兆円となります。介入規模が1兆円とすれば、一日の取引額の2%未満。さらに、ドル売り円買い介入の上限となる外貨準備の残高195.2兆円は、外国為替市場の1日の取引額の約3.5日分に過ぎないとされます。
そのほか、財務省が市中銀行から円を買うため、日銀当座預金の残高の減少や金利上昇の要因となりかねません。日銀が金融緩和政策を継続する中、残高減少分を補填すれば、金利の低下を通じて円安要因となることから、介入効果は希薄になるのではと考えられます。そもそも円安は、日本が海外からのエネルギー資源の輸入や小麦、トウモロコシなどを中心とした食料輸入に大きく依存する貿易赤字の定着が経常収支の悪化につながっていること、さらに、輸入物価の上昇を中心に消費者物価指数が上昇する中で賃金上昇率が伸び悩む中、緩和継続といった構造的・複合的な問題によって円安が進行している現状を踏まえると、円安は為替介入では容易に解決できないとみられます。
円安の流れを変えるためには、FRBの金融引き締め継続の姿勢に変化が生じる必要があるほか、日銀の指値オペの弾力的運用やイールドカーブコントロールの変更が必要ではないかと思われます。そのため、円買い介入は日米金融政策の変更を待つ間の時間稼ぎに過ぎないと考えられるかもしれません。
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