ジャクソンホール経済シンポジウム
注目された先週末のジャクソンホールでの経済シンポジウムでパウエルFRB議長からは「これまでの利上げを踏まえ、更に金融引き締めを行うか、或いは政策金利を一定に維持し、更なるデータを待つか、慎重に判断していく」との考えが示された一方、「米経済が力強く持続的な成長を続ける中、今後のインフレ抑制に向けて追加利上げが必要となる可能性がある」との認識が示されました。
こうした発言を受けて、米10年債利回りが一時4.28%台へ上昇したことに伴い、ドル円は昨年11月9日以来の高値となる146円63銭まで上昇。一方、パネルディスカッションに参加した植田日銀総裁からは「現行の緩和政策を堅持しているのは低インフレが理由であり、基調的インフレは依然として2.0%を若干下回った状況にある」との認識が示され、緩和政策が当面継続されるとの観測とともに、週明け28日の東京市場でドル円は146円台半ば付近で堅調な値動きを続けています。
今回の議長の発言を受けて、9月FOMCで政策金利を据え置くとの見通しは80.5%と高い確率に留まっている一方、11月の利上げを見込む確率が48.4%、据え置きが42.3%と拮抗しているのが現状です。しかし、FRBが年末までに少なくともあと1回利上げを行い、その後昨年3月から続く金融引き締めサイクルを停止したとしても、政策金利はその高水準を当面維持すると見られています。そのため、金融正常化への転換はかなり先と見込まれる日本の長期金利はYCCの変動幅で示された上限(1.0%)を上回ることはないとの見通しとともに日銀と米FRBの金融政策を巡る方向性の違いが円安基調の根拠となっています。
31日発表の米7月個人消費支出/コア価格指数
パウエル議長は今週31日に発表される米7月個人消費支出(PCE)価格指数について前年比+3.3%、コア指数+4.3%といずれも6月(3.0%/4.1%)から上昇するとの見通しを示しています。
- ※出所:米商務省
米8月雇用統計
あらためてジャクソンホールでのパウエル議長の講演の詳細を見ると、議長はあらゆる選択肢を残しておくよう慎重を期す一方、政策金利は当面高止まりする可能性が高いとの考えを繰り返し述べています。議長の発言を整理すると以下のようになります。
1)米消費者物価指数(コア指数)は、6月と7月いずれも前月比+0.2%に留まったものの、 「2ヵ月間の良好なデータは、インフレが目標に向かって持続的に低下しているという確信 を深める始まりに過ぎない」とし、「やるべきことはまだ多くある」との認識を示唆。
2)これまでの利上げによる借り入れコストの上昇により、米経済が減速を続けるとの懸念 から追加利上げに慎重に対応すべきとの見解がある一方、金利を据え置けば、力強い 経済成長を背景にインフレ抑制は予想以上に時間がかかるとの見解が交錯。そのため、議長はこうした状況に配慮する必要があるとの認識を示しつつ、融資基準や借入金利などの金融状況は全般的に引き締まっているとの考えを示唆。また、通常こうした動向は 経済活動の減速をもたらすとして、「今回の金融引き締めサイクルでもそうした証拠が確認できる」とした一方、「予想通りに景気が減速していない可能性を示す兆候に注意を払っている」と説明。
3)景気を十分に抑制するのに金利をどの程度引き上げる必要があるか不透明であると 認めた上でインフレ調整後の実質金利は歴史的な高水準に達しており、景気を熱しも 冷ましもしない「中立金利」の主な予測を「はるかに上回っている」と認識。しかし、「中立金利を正確に特定することはできないため、金融政策対応の適切な水準については常に不確実性が存在する」と発言。
こうした発言を要約すると「データ次第」「データを精査した上で適切に対応する」と解釈されることから、あらためて米8月雇用統計が注目されます。
- ※出所:SBIリクイディティ・マーケット
前述2)に示した議長が「予想通りに景気が減速していない可能性を示す兆候に注意を払っている」との発言に基づき、雇用統計で失業率が市場予想以上に改善が進んでいたり時間給賃金が予想以上に上昇した場合、9月19‐20日のFOMCで0.25%の利上げ観測が高まる可能性もあり、その結果が注目されます。もちろん13日に発表される8月消費者物価指数を見極める必要があるとして慎重な反応に留まる可能性があるものの、日米金融政策の方向性の違いがあらためて意識されることになればドル円は心理的節目とされる150円を目指して一段と上昇するかもしれません。
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