来週の株式見通し(2014/4/21〜4/25)
来週(2014/4/21〜4/25)の東京市場はもみ合いが予想される。日経平均株価の予想レンジは14,100円-14,500円。国内では3月本決算企業の業績発表が始まる。新興国の景気減速懸念を背景に業績への警戒感は強く、しばらくは手控え要因になろう。決算銘柄に短期資金が集中しやすい一方、中国4月HSBC製造業PMI(速報値)や米国の景気指標などに一喜一憂し、先物主導で神経質になる場面が増えるだろう。
日銀が4/30に公表する「経済・物価情勢の展望(展望 リポート)」において、2015年度の消費者物価見通しは現行の1.9%を維持する公算が大きい。ただ、国内ではこのところ要人発言が増えており、株価に配慮した動きが目立つ。引き続き、追加金融緩和や政策面への期待が相場の下支え要因となりそうだ。
一方、米国市場ではダウ平均が史上最高値まであと152ドル程度に迫っている(4/16現在)。今週の反発でいったん買いが一巡する可能性はあるが、米経済指標や米企業の業績動向が株価を後押しするかが注目される。
図表1は、日経平均株価とダウ平均の昨年来の上昇率を比べたものである。日経平均株価は昨年1年間で56.7%上昇したが、年初からの調整により4/14現在で33.8%に鈍化した。一方、ダウ平均の同じ期間の上昇率は23.4%と、昨年来では日経平均株価の方がまだ10%程度高い。
昨年5月の急落場面で両者のかい離が縮小したあと、日経平均が持ち直す場面があった。米国市場では調整色を強めるNASDAQの代わりに、今後はダウ平均が米国市場を先導するフェーズに移っていくと予想され、ダウ平均が日経平均株価の上昇にキャッチアップしていく公算が大きい。つまり、ダウ平均の上昇に日経平均株価が短期的に追いつけない可能性はあるが、両者のかい離が再び縮小したあと日経平均株価にも高値奪回の余地が生まれてくるかもしれない。
全体相場の次の反発局面では、上昇しやすい銘柄とそうでない銘柄とに分かれてくると思われ、昨年後半にかけて大きく上昇しなかった株価パターンが有望だ。主力株では、昨年5月からずっと下げてきた、キヤノン(7751)や信越化学工業(4063)、自動車株はトヨタ自動車(7203)ではなく、日産自動車(7201)の方だろう。
図表1:日経平均株価とダウ平均の昨年来の上昇率
出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
来週の国内の経済指標では、3月貿易統計、3月コンビニエンスストア売上高(4/21)、オバマ米大統領来日予定(〜25日)(4/23)、3月企業向けサービス価格指数(4/24)、3月全国消費者物価指数、2月全産業活動指数(4/25)などが重要。国内決算発表は、安川電、KOA(4/21)、日本電産、シマノ、キヤノンMJ、ジャフコ(4/22)、蝶理、JSR、航空電、モーニングスタ、キヤノン電(4/23)、エムスリー、JT、信越化、協和キリン、中外薬、オービック、サイバー、JFE、日立建機、富士電機、オムロン、アンリツ、アドバンテス、三菱自、ダイハツ、キヤノン、日立ハイテク、日立キャピ、OBC(4/24)、キッコーマン、トヨタ紡織、ヤフー、日電硝、神戸鋼、コマツ、ジェイテクト、デンソー、スタンレー、ファナック、三井造、川重、日野自、アイシン、マツダ、豊田合、リコー、豊田通商、松井証、JR東海、NTTドコモ(4/25)などが予定している。
一方、海外の経済指標やイベントでは、米3月シカゴ連銀全米活動指数、米3月CB景気先行総合指数、3月北米半導体製造装置BBレシオ(4/21)、米2月FHFA住宅価格指数、米3月中古住宅販売件数、ユーロ圏4月消費者信頼感速報値(4/22)、中国4月HSBC製造業PMI速報値、仏・独・ユーロ圏4月PMI速報値、米3月新築住宅販売件数(4/23)、独4月Ifo景況感指数、米3月耐久財受注(4/24)、米4月マークイットPMI速報値、米4月ミシガン大学消費者信頼感確報値(4/25)。米決算発表は、マクドナルド、AT&T、トラベラーズ(4/22)、ダウ・ケミカル、ボーイング、アップル、フェイスブック、クアルコム、P&G(4/23)、UPS、ベライゾン、ビザ、ニューモント・マイニング、スターバックス、3M、マイクロソフト、ニューコア、GM(4/24)などが予定している。
新規上場は来週は3社が予定している。4/23にマザーズに上場するフィックスターズ (3687)は、高速化ソフトウエアの開発。複数のプロセッサーコア(演算処理装置の中核)を1個に集積したマルチコア向けのソフトウエア高速化技術と、ストレージ(記憶装置)向けの入出力高速化技術を、最新のマルチコア製品へ適用し、サポートする独自の高速化技術「M3(エム・キューブ)」により、顧客の製品やシステム性能の向上を実現している。主要販売先が大手ばかりで技術力はお墨付き。独自性が高く、他社が容易に追随できないものを感じさせる。ただし、利益水準そのものはまだ小さいうえ、VC保有株の比率が高い。3社が同日上場となる日程も気掛かりである。
一方、同日JASDAQスタンダードに上場する白鳩(3192)は下着類のインターネット販売。女性向けが主力。男性向けと合わせ約1万1000品番のアイテム、国内外合わせ80ブランドを取り扱っている。ネット関連ではあるものの競争の激しい小売業。同族企業で業績水準はぱっとしない。人気は限られそうだが、ネット業態ならば何でも飛び付く勢力は一定数存在する。吸収金額が小ぶりなため、単純に需給妙味はある。
東証1部に再上場する西武ホールディングス(9024)の公開価格は仮条件の下限(1,600円)で決まった。吸収金額は削減されたとはいえ、大型・成熟の案件は不人気である。サーベラスが筆頭株主として残ることには変らず、将来的な需給懸念も解消されない。想定初値は引き続き1,000〜1,500円。買い手不在でシンジケートカバー取引にも頼れないだけに苦戦見通しだろう。
図表2は、ダウ平均のラインチャートである。短期波動でみると、2/3安値15,372ドルが2013年12/12安値15,739ドルを切り下げたことで、現在は2013年11/27高値16,097ドルを起点にもみ合い相場が続いている見方ができる。もみ合い相場の重要な均衡水準は、11/27高値16,097ドルと3/14安値16,065ドルが重なる水準(均衡水準1)。また、11/27高値と12/12安値の中値15,918ドルや、12/31高値と2/3安値の中値15,974ドルなど(均衡水準2)が考えられる。一時的に16,000ドルを割り込む場面も予想されるが、4/11安値16,026ドルが均衡水準に達した可能性も高く、反発力が試される局面である。
12/31高値を上回ったあとの上値メドとして予測できるのは、もみ合い相場の最大値幅1,204ドル(12/31高値〜2/3安値)を、もみ合い相場の均衡水準1(16,065ドル〜16,097ドル)から同値幅上げた17,269ドル〜17,301ドル、均衡水準2(15,918ドル〜15,974ドル)から同値幅上げた17,122ドル〜17,178ドルとなる。
図表2:ダウ平均のラインチャート(2013/10/1-2014/4/16)
出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
一方、図表3は日経平均株価のラインチャートである。2月安値(14,008円)を割り込み、2013年12月高値を起点とした目先の下落トレンドが続いていることが確認できた。一方、ダウ平均とはもみ合い期間こそ異なるものの、2013年5月高値を起点としたもみ合い相場の均衡水準(中値)である14,000円処は維持している。主要な変化日候補である5/2前後まで調整が続く可能性はあるが、均衡水準を続けて下回らない限り、いずれ上方向にトレンドが発生することになろう。中長期の日柄予測でみたダウ平均の5/2、ドル円相場の5/1〜5/3と重なるため、今後の方向性を決める重要なターニングポイントになることが予想される。
図表3:日経平均株価のラインチャート(2013/1/4-2014/4/16)
出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
来週の注目銘柄(2014/4/21〜4/25)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット株価(円) |
注目ポイント |
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4534 |
9,100円 |
6,540円 |
医薬中堅メーカーの同社に改めて注目したい。循環器系が得意分野。4/16付「日本経済新聞」は、2014年3月期の連結営業利益が前の期比7%増の150億円超となったようだと報じた。主力の高脂血症薬「エパデール」は競合品の発売で減収を見込んでいたものの、営業強化で前の期並みの売り上げを維持したもよう。後発薬はがんやバイオ領域に重点も。自己株取得に意欲あり。株価は1月にターゲットに掲げた7,300円をあっさりクリアし、上値余地が広がったとみられる。中長期では1万円超えもありえるが、まずは2013年5月高値(7,395円)からの下げの倍返しを狙いたい。ターゲットは9,100円、ロスカットは6,540円。 |
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4634 |
470円 |
407円 |
印刷インキ国内首位。オフセットインキは高感度UVインキやタッチパネル用ハードコート剤などの高機能製品が好調。今期はスマートフォン(スマホ)のカラーフィルター向け材料の伸びを見込む。2016年度の海外比率は50%を目指す。決算発表は5/13を予定している。株価は2009年以降、下値を切り上げながら推移。月足の一目均衡表では基準線付近まで下げており、押し目処を探る展開か。短期的には3月安値410円を維持しながら直近高値(440円)をクリアできれば、まずは470円処が上値メドとなる。8月には月足基準線が上昇する公算が大きく、買い持続で対応できれば中長期スタンスで700円台も。ターゲットは470円、ロスカットは407円 |
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4849 |
2,280円 |
1,650円 |
転職・求人情報サイト大手。「en」ブランドで展開。企業や派遣会社からの広告収入が柱。景況感改善は転職情報に追い風。海外子会社の業績加算。社員を再雇用する新制度を導入。配当性向は30%目安。株価は月足の一目均衡表上では基準線まで調整で押し目買いか。週足も雲上限に差し掛かり二番底形成が強気に転じるポイントだ。足元は3月安値1,670円を下回らず反発基調。1,977円の戻り高値を上回れば二番底が完成する。ターゲットは2,280円、ロスカットは1,650円。 |
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7593 |
900円 |
522円 |
日産系のディーラー、レンタカー事業を展開している。愛知県地盤で住宅関連事業も。新車中古車を合わせた自動車販売台数が堅調。2013年度に続き、2014年度も新型車効果などにより過去最高益を目指す。新規M&Aによる店舗数拡大への取り組みを強化し、業績かさ上げにらむ。連結配当性向は30%を目標。株価は高値圏で強含み、上値追いが続く公算が大きい。当初の見込み650円(分割調整後)はほぼ達成したものの、トレンドに逆らうべからず。2004年高値460円からの下げの倍返しまで利益を伸ばしたい。ターゲットは900円、ロスカットは522円 |
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7860 |
2,330円 |
1,590円 |
ダンス系音楽に特色。音楽事業の再構築、ライヴ・エンタテインメントビジネスの拡大に取り組む。スマートフォン向け映像配信を強化。LINEとコンテンツ分野におけるパートナーシップを契約。外国人持ち株比率が高い。株価は2013年8月高値3,770円を起点に三段下げで売り一巡か。月足の一目均衡表では5月は雲のネジレのタイミングとなり、反転上昇に転じる公算が大きい。日足では直近高値1,975円を上回れば底固めが完了となり、上方のマド埋めが短期的なメドか。2013年高値からの下げの半値戻しで2,690円処。短期的なターゲットは2,330円、ロスカットは1,590円 |
- 出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・ 東証上場銘柄で4/16現在、時価総額が300億円以上、2015年3月期増収・増益予想(経常利益、東洋経済予想)の銘柄の中から、売られ過ぎや話題性を考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。