来週の株式見通し(2018/1/15〜1/19)
来週(2018/1/15〜1/19)の日経平均株価の予想レンジは23,500円-24,200円。東京株式市場は円高警戒や米国市場の休場(1/15)などを背景に、週初は手控えムードのスタートとなりそうだ。材料株や小型株物色に傾斜しやすく、週間ベースでの主力大型株への資金流入は米主要指数の強さが保たれるかがポイントとなる。
米大型ハイテク株の堅調に加え、本格化する米企業決算の発表に米国株がどんな反応を示すかが焦点だ。来週はシティグループ、ユナイテッドヘルス、バンク・オブ・アメリカ(1/16)、ゴールドマン・サックス(1/17)、モルガン・スタンレー、アメリカン・エキスプレス、IBM(1/18)などが発表を予定している。
トムソン・ロイターの予想によると、米主要500社ベースの2017年10-12月期は純利益で11.8%程度の増益(前年同期比、1/10現在)と、6四半期連続の増益が見込まれている。
一方、日銀による国債買い入れオペ減額をきっかけとした金利上昇による円高や、中国の外貨準備による米国債購入減額報道などが米金利上昇圧力を強めている。すでに、米国の長期金利(10年債利回り)は200日移動平均線をサポートに上昇基調が続いており、市場動向に追随する材料としてはこのタイミングで出てきても不思議ではなかった。ただ、2013年以降の主要な高値をつないだ上値抵抗線のフシ目を上抜けてきており、米国株の上値を抑える要因となりえる。フシ目突破で金利上昇に勢い付く場合、世界的にリスク回避ムードが強まる公算が大きい。その結果、日本株も日経平均株価ベースでSQ値(1月限)が上値の壁として意識される展開が予想される。
また、シカゴマーカンタイル取引所(CME)のIMM通貨先物では、円売りポジション(-121,766枚、1/2)が昨年11月以来の水準まで膨らんでいる(図表1)。円売りポジションの巻き戻しで円高圧力が強まる場合、CTA(商品投資顧問業者)などによる日経225先物への売り仕掛けが入り、相場全体にも下落圧力が強まる展開が予想される。国内企業の業績上振れ期待も減退し、10-12月期決算発表を前に押し目買いも入りづらくなりそうだ。
昨年の1月は1ドル=118円台から112円台に急速に円高が進んだ経緯がある。
主要な国内経済指標では、12月工作機械受注(1/15)、12月企業物価指数、(1/16)、11月機械受注(1/17)などに注目。海外の経済指標では、米1月NY連銀景気指数(1/16)、中国12月小売売上高、中国12月鉱工業生産、中国12月都市部固定資産投資、米1月フィラデルフィア連銀景気指数(1/18)などが注目される。
図表1:円ポジションとドル円の推移(週足、(2013/01/04-2018/01/05)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
2018年の日経平均株価(図表2)はロケットスタートとなった。昨年はバブル高値からの調整局面で付けた1996年の戻り高値22,666円を上回ったため、長期的な上昇トレンドへの期待が高まった局面にある。そんな状況にある中、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が平昌五輪への参加の意思を示したことも、正月休みの間での安心材料の1つになった。年初から海外投資家が米国市場に上場している日本株のETF買いを強めたもようだ。
日経平均株価を月足チャートでみると、1月は一目均衡表で転換線が再び上昇に転じるタイミングでもあり、上値追いには追い風となる。一方、アベノミクス相場における安値→高値までの中期的な上昇リズムでみると、2016年6月安値からの上昇期間が過去の上昇期間を超えるまでに成熟している点は気がかりである。もうひとつは、12カ月移動平均線(1年間の平均値)からの上方かい離率が広がっている点である。最近の高値を付けた例でいくと、昨年の11月高値時には上方かい離が15%程度で株価が頭打ちとなった。そこを基準に今回も15%程度が意識されるとすると、23,800円程度が上値の目安となる。上昇するときは勢いがあるため、2015年当時のように18%程度まで買われた経緯があることを踏まえると、24,400円程度まではあるかもしれない。
ただ、1〜3月は海外投資家の買いが継続しない傾向があるため、早い段階で当面の高値を付け、年度末に向けて調整に入るシナリオも想定しておきたい。
日足ベースで上値のフシとなりやすいのは、9/8安値(19,239円)を起点に11/16安値(21,972円)を通る上昇ライン上。ほか、11/9高値から11/16安値までの下落幅をその中値から上げた24,087円、4/17安値から6/20高値までの上昇幅の2倍を高値に加えた24,506円付近、11/9高値から11/16安値までの倍返しとなる24,792円付近などがある。
一方、下値メドは、11/9高値23,382円前後、23,000円前後、12/6安値22,119円〜11/16安値21,972円などが考えられる。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2017/04/03-2018/01/11)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
来週の主要な国内経済指標の発表は、12月マネーストック、12月工作機械受注(1/15)、12月企業物価指数、11月第3次産業活動指数、12月企業倒産件数(1/16)、11月機械受注(1/17)がある。
国内企業の決算発表では、キャンドゥ、ヨシムラフード、TKP、メディアドゥ、サイバーS、ウォンテッドリ、マネフォワ-ド、サインポスト、Gunosy、メタップス、東宝(1/15)、ホギメディ、ブロンコB(1/16)、グランド(1/17)、津田駒、ノダ、協和コンサ(1/18)、モバファク、光世証、ゲンダイAG、アジュバン、日鋳造、安川情報、アサヒ陶、ネクスG、ティムコ、リーバイス(1/19)などが予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、米1月NY連銀景気指数(1/16)、米12月鉱工業生産指数、米1月NAHB住宅市場指数 (1/17)、中国12月小売売上高、中国12月鉱工業生産、中国12月都市部固定資産投資、米12月住宅着工件数、米1月フィラデルフィア連銀景気指数(1/18)などが注目される。
米企業決算の発表では、シティグループ、ユナイテッドヘルス、CSX、バンク・オブ・アメリカ(1/16)、ゴールドマン・サックス、USバンコープ(1/17)、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、モルガン・スタンレー、アメリカン・エキスプレス、IBM(1/18)、シンクロニー・ファイナンシャル(1/19)などが予定している。
なお、1/15の米国市場はキング牧師誕生記念日のため休場となる。
来週の注目銘柄(1/15〜1/19)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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1662 | 4,000円 | 2,960円 | NY原油先物が1バレル=63ドル台をつける場面があるなど、原油価格が上昇基調にあり、選好が強まる展開を想定。12/27付けの日本経済新聞では、同社が熱電供給(コージェネ)事業に新規参入すると報じられている。株価は昨年9月後半以降、上昇基調を強めており、特に12月に入っての動きがよい。2016年12月高値(3,040円)を上回ったことで、中期調整局面を脱した可能性が高い。信用残も売り残が買い残を上回っており、需給面からの不安は乏しいとみられる。週足の連続陽線で過熱感は否めないが、短期的な押し目は拾っておきたい。NY原油先物は2015年6月に付けた戻り高値を超えてきており、当面の上値のフシはない。ターゲットは4,000円、ロスカットは2,960円 | |
2670 | 8,000円 | 6,350円 | 同社は1/10、2018年2月期の第3四半期累計(3-11月)の連結営業利益が327億円(前年同期比2.1%増)だったと発表した。国内では、ファッション雑誌やSNSによる宣伝効果もあり、キッズシューズやレディース向けのスポーツシューズの販売が好調。また、訪日客の増加などにより客数が増加したことも寄与した。なお、通期の会社計画425億円に対する進ちょくは77.0%となっている。株価は一目均衡表の転換線をサポートに強いリバウンドが続いている。11/16安値は8/29に付けた安値(5,550円)の一文上で下げ止まり、二番底としては底入れ強化型。8/29安値から10/2高値(6,050円)までの上昇幅(500円)に対するE計算値6,550円付近で頭打ちになっていたが、今週に入ってからは一段高の気配が強い。8/29安値から10/2高値までの上昇幅に対する2E計算値(7,050円)を上回れば上値余地は広がる。ターゲットは8,000円、ロスカットは6,350円 | |
3891 | 3,400円 | 2,760円 | 電気絶縁用セパレータ(紙)を手掛ける。アルミ電解コンデンサー用セパレータは国内95%、世界シェア60%を誇る。高知県高知市に本社。同社は昨年10月に2018年3月期の通期連結営業利益予想を従来の9.4億円から15.0億円(前期比3.0倍)に引き上げた。市場予想が21.0億円だったため、失望売りを誘う場面があったが、日足の一目均衡表の雲下限をサポートに早期に立ち直り。現在は、昨年9月に付けた昨年来高値(2,749円)を更新したばかりの水準にある。1/9に形成した大陽線でも出来高の大幅増が伴っていない点は気がかりだが、逆にまだ過熱感が薄いタイミングであると見立てることができ、上値余地は十分にあると判断できそう。信用残高も極端に買いに偏っているわけではない。ターゲットは3,400円、ロスカットは2,760円 | |
4238 | 2,300円 | 1,700円 | 半導体ウエハー容器など、高機能プラスチック製品の製造、開発を手がける。12/8に発表された2018年1月期の第3四半期(2-10月)決算では、連結営業利益が前年同期比4.8倍の8.6億円と大幅増益を達成した。9月の上期決算時に開示した通期計画の8.3億円を既に超過している。主力のシリコンウエハー出荷容器の販売は堅調に推移しており、増収効果とコスト削減および高品質化の推進で利益の改善度合いが著しい。株価もきれいな右肩上がり。決算を受け、株価は2,000円の大台に乗せ、年初来高値を更新した。その後は利益確定売りに押されているが、1,800円前後での値固めのあとは再び高値をトライする動きになっている。週足の一目均衡表では転換線が上昇に転じるタイミングとなり、動意につながるかが注目される。ターゲットは2,300円、ロスカットは1,700円 | |
8113 | 3,300円 | 2,900円 | 2017年12月期の第3四半期(1-9月)決算が好感され、昨年11月中旬以降、騰勢を強める動きとなっている。国内では増収効果に加え、生産性の向上で粗利率が改善しており、海外では中国やインドネシアの業績が改善している。第3四半期累計の連結純利益は436億円(前年同期比34.7%増)で、通期計画490億円に対する進ちょくは89.0%と高く、業績上振れへの期待が高い。株価は順調に下値を切り上げ、2017年6月高値(3,078円)をクリア。2015年3月に付けた高値(3,398円)が視野に入ってきた。信用の需給環境は悪くなく、戻り売りをこなしながらも堅調が続くことが見込まれる。ターゲットは3,300円、ロスカットは2,900円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証上場銘柄で1/10現在、時価総額が100億円以上、PBRが5.0倍以下、今期増収・営業増益予想、株価が25日・100日移動平均線を上回っている中から、成長性、話題性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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