来週の株式見通し(2018/3/5〜3/9)
来週(2018/3/5〜3/9)の東京株式市場は押し目形成か。日経平均株価の予想レンジは20,950円-22,000円。週末の米2月雇用統計の発表を控えているが、先物市場は6月限へのロールオーバー以外の商いも活発化しそうだ。ただ、米国株が再び下げ止まることが予想されるほか、円安への動きがやや強まる公算が大きい。ユーロドル相場(図表1)が弱くなってきており、米長期金利の上昇でも動きが鈍かったドル円相場がドル買いによって円安方向に動く可能性が高く、株価の下支え要因になることが予想される。世界的な金融市場の混乱を背景に、ECB理事会終了後のドラギ総裁の会見(3/8)なども、ユーロの材料になるシナリオを想定しておきたい。
決算月ということで益出しの売りや持ち合い解消売りなどが上値を抑える要因となるが、裁定取引に伴う買い残高の大幅減少などを考えると、弱くても2月上旬のような売りが売りを呼ぶような展開は想定しづらい。
頼るところは為替市場となるが、ドル円相場の2009年以降の3月相場を振り返ると、2009年〜2015年まではすべての年で月足は陽線(月初よりも月末の方が円安が進んでいること)となった。2016年と2017年は陰線だったが、月の前半は少なくとも円高にはならなかった。来週は円高一服による株価の下げ止まりに期待したい。
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主要な国内経済指標の発表は、1月景気動向指数(3/7)、日銀金融政策決定会合(〜3/9)、10-12月期GDP改定値、2月景気ウォッチャー調査(3/8)などに注目。海外では、米2月ISM非製造業景況指数(3/5)、米2月ADP雇用統計、ベージュブック(3/7)、米2月雇用統計(3/9)などが注目視されそうだ。
また、週末は3月限のメジャーSQが算出される。年に4回あるメジャーSQ前後の値動きはさまざまだが、過去にはSQ前後が相場の短期的な分岐点になってきたことも少なくない。
図表1:ユーロドル相場の推移(日足、2017/10/02-2018/03/01)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表2)は25日移動平均線(22,275円 2/28)や100日移動平均線(22,449円 同)が重なる水準が上値のフシとなり、週後半は調整色を強める展開となった。
一般的には株価が25日移動平均線を下回っていると弱気、上回っていると強気という見方があるが、3月相場を通じて上回れるかが焦点となる。その場合、1/23高値(24,129円)から2/14安値(20,950円)までの下げに対する半値戻し22,539円、あるいは昨年12月になかなか上回れなかった23,000円以上を回復できるかが、再び強気相場に転じる条件となる。
一方、目先的には現状のように25日移動平均線が下向きで推移するため、下方向に押し戻される傾向が続きやすい。3/1には、10日移動平均線(21,973円 同)を割り込んだことで、3/2には早々にも200日移動平均線(21,173円 同)に向けて二番底試しとなった。2/27高値(22,502円)からの下げがきつく、いったん戻したとしても2/19高値(22,152円)を超えられないような戻り幅でとどまれば、一段安リスクがしばらくつきまとう。
図表3のように、昨年9月以降の東証1部の累積売買代金では、22,500円〜23,000円の価格帯は84兆円にも膨らんでおり、これだけでも戻り待ちの売りが強いことが推測できる。そのため、2兆円半ば程度の売買代金では、25日移動平均線はすぐには超えられない壁として意識されそうだ。ただ、3月中旬ぐらいになると日柄調整が進み、25日移動平均線上向きに変わってくる可能性が高い。売買代金が3兆円台前半程度まで増加してくれば、同線を突破できる局面に変わることが予想される。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2017/08/01-2018/03/01)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
図表3:東証1部の累積売買代金(2017/09/01-2018/02/28)
- 出所:BloombergよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
来週の主要な国内経済指標の発表やイベントは、1月景気動向指数(3/7)、日銀金融政策決定会合(〜3/9)、10-12月期GDP改定値、1月国際収支、2月都心オフィス空室率、2月景気ウォッチャー調査(3/8)、黒田日銀総裁会見、1月家計調査、1月毎月勤労統計、メジャーSQ(3/9)がある。
企業決算では、ゼネパッカー、日ハウスHD、くらコーポ、ティーライフ、エイケン工業、タカショー、フジコーポ、ピープル、ピジョン、泉州電(3/5)、アスカネット、アイル(3/6)、積水ハウス、クミアイ化、鎌倉新書、アイモバイル、不二電機、トップカルチャ(3/8)、エイチーム、フルスピード、日駐、テンポスHD、サトウ食品、鳥貴族、モルフォ、ソフトウェアサー、フリービット、gumi、アイリッジ、ミライアル、日本スキー、イトクロ、日ビュホテル、サムコ、コーセル、ファースト住、カナモト(3/9)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表は、米2月ISM非製造業景況指数(3/5)、米1月製造業受注(3/6)、米2月ADP雇用統計、米1月貿易収支、ベージュブック、米1月消費者信用残高、IoT見本市「インターネット・オブ・シングス・インディア・エクスポ2018」(ニューデリー、〜3/9)(3/7)、中国2月貿易収支、ECB理事会(ドラギ総裁会見)(3/8)、米2月雇用統計(3/9)などが注目される。
米企業決算の発表では、ターゲット・コーポレーション、ロス・ストアーズ(3/6)、コストコ、ダラー・ツリー(3/7)、クローガー、クーパー (3/8)などが予定している。
来週の注目銘柄(2018/3/5〜3/9)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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4644 | 1,300円 | 1,050円 | 2018年3月期の第3四半期累計の営業利益は前年同期比58%増と好調な着地となり、同時に通期予想を上方修正。ゲームコンテンツに加え、海外へのアニメ・ドラマのコンテンツ提供やキャリア主導サービスが、計画を上回ったことが寄与した。なお、上方修正を行っても通期計画に対する進ちょくは86%となっており、さらなる上振れの可能性もある。また、現在「Nintendo Switch」向けタイトルの開発を進めており、こちらの展開にも期待できる。株価は5日移動平均線と25日移動平均線をダブルで上にブレーク。2月前半で形成した急落のマドも早々に埋め戻し、直近高値(1,192円)が視野に入っている。上回ることができれば、昨年3月高値(1,338円)まで主要なフシはない。ターゲットは1,300円、ロスカットは1,050円 | |
4662 | 1,180円 | 890円 | 公共向けシステム開発に強く、セキュリティサービスも行う。2018年3月期の第3四半期累計の営業利益は前年同期比55%増と好調な着地。民間関連事業の売り上げが順調に推移していることもあり、売上高は過去最高を更新した。また、小型・軽量のBLEビーコン「timbe」の販売開始を発表。資材の所在管理や在庫管理、重機の稼働状況把握などでの需要を見込んでおり、今後の収益への寄与が期待される。株価は昨年6月に形成した月足の大陽線の中心以上でもみ合いを続けている。出来高はいまひとつ増加しないが、2月相場は下ヒゲ陽線で終えており、そろそろ動意付く気配がでてきたようだ。相場全体の急落にお付き合いして下げた場面もあったが、戻りも急速。昨年11月高値(1,019円)を上回れば、騰勢を強める展開が予想される。ターゲットは1,180円、ロスカットは890円 | |
6327 | 640円 | 510円 | プリント基板プレス、合板プレス・FA機械の中堅。2018年6月期の上期の営業利益は前年同期比91%増となった。プリント基板用および基板関連プレス装置の海外向け大型案件が好調に推移したことが寄与している。なお、上期時点の受注残高は前年同期並みを確保しており、下期も安定した業績推移となる見込み。原材料納期長期化による売り上げの一部期ずれ懸念などにより通期の営業益は減益予想となっているが、一転増益となることも期待できる。株価は2016年高値(749円)以降、不安定ながらも、底堅い展開が続いている。2012年以降の波動では下値を切り上げる動きが続いており、月足の一目均衡表では抵抗帯(雲)上を維持している。出来高の増加で急騰する軽量型であり、足元は若干その兆候がうかがえる。ターゲットは640円、ロスカットは510円 | |
6920 | 4,950円 | 3,740円 | 半導体マスク欠陥検査装置が収益柱。2018年6月期の上期の営業利益は26%増となった。半期では、売り上げ、利益、受注が過去最高額を達成している。半導体マスク欠陥検査装置が売上高をけん引したが、「その他」や「サービス」といった区分も大幅な増収となっている点も評価できる。上期は受注および受注残が大幅増となっており、安定した業績拡大は今後も続くと期待される。株価は右肩上がり。2月の急落で買い方が振り落とされ、上値を広げる展開となっている。2016年8月に4ケタに乗せたあと、月足では連続陽線で上値追い。今年に入ってからは加速気味になっているが、下げない強さに先高期待をつなぎたい。ターゲットは4,950円、ロスカットは3,740円 | |
9702 | 1,800円 | 1,360円 | 2017年12月期の営業利益は6億円(前期比97%増)と非常に好調な着地となった。主力の情報サービス事業が、プロジェクト管理強化による収益性改善などが寄与したことなどにより増益となった。また、セキュリティシステム事業も新サービスが初年度から販売に至るなど好調に推移している。中期経営計画では2020年の営業利益を10億円とする目標を掲げているが、良好な市場環境もあり前倒しの達成も期待できる。株価は2月安値(1,150円)を起点に上げ足を速めており、年初来高値(1,488円)をあっさりと更新。目先的には過熱感もあるが、昨年は1,938円まで上昇しており、戻りが試される局面入りだ。信用買い残も極端に多くないことや、PERも驚くほど高くはない。ターゲットは1,800円、ロスカットは1,360円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証上場銘柄で2/28現在、時価総額が3,000億円以下、PBRが8.0倍以下、今期増収・増益予想(経常損益、日経予想)、5日、10日・25日・75日・200日移動平均線を上回っている中から、成長性や話題性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
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