来週の株式見通し(2020/8/17〜8/21)
来週(2020/8/17〜8/21)の日経平均株価は堅調な動きが予想される。週間の予想レンジは22,900円-23,600円。SQ通過などもあり売買代金の減少は予想されるものの、8月はFOMC(連邦公開市場委員会)がないことでイベントリスクを抱えずに、株・為替ともリスク選好のムードが続きやすい。もみ合い基調にとどまる上海総合指数が再び騰勢を強めれば援軍になろう。ただ、ドル円の円安が一服する可能性があることで、輸出関連株でも自動車株などの上値を抑える要因になる。
決算発表が一巡しアナリスト側からの投資判断の良し悪しが個別材料になる。株高を背景に強気判断を下す銘柄も少なくないとみられ、特にポジティブに評価される銘柄には注目が集まる。バリュー株買いかグロース株買いの見極めどころではあるが、短期的には日替わり物色にとどまる公算が大きく、バリュー・グロースを区分けする投資戦略は順張りよりも逆張りが有効とみられる。
一方、8/15を目途に、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表と劉鶴中国副首相が米中第1段階通商合意の実施状況の検証をバーチャル形式で開催する見通し。米国産農産物購入やドル・人民元相場、国家安全保障上の配慮を理由とした「TikTok(ティックトック)」や「ウィーチャット」との取引禁止の米大統領令などが議題になると報じられている。新型コロナウイルスなどで、中国による米国産エネルギー・農産物の購入は目標に達していないことや、米大統領令に関して議論が紛糾した場合、米中対立が激化する可能性に要警戒となる。
国内の経済指標では、4-6月期GDP速報値(8/17)、6月機械受注(8/19)。海外では、米8月NY連銀景気指数(8/17)、米8月フィラデルフィア連銀景気指数(8/20)、米7月中古住宅販売(8/21)などが注目される。
日経平均株価(図表1)は200日移動平均線(21,994円 8/13)上を回復したあとは強い反発が続いている。25日移動平均線(22,588円 同)もあっさりとクリアし、8/12には6/9高値(23,185円)を起点に7/15高値(22,965円)を通る右肩下がりの上値抵抗線まで上昇。8/13には上値抵抗線を明確に上回り、6/9高値(23,178円)も上抜けた。
RSI(9日)は67.1%(8/13)と強弱の分岐となる50%を上回っており、一段と騰勢を強める公算が大きい。
一方、6/9高値が目先の上値のフシにもなりえ、到達したことでいったん下押す可能性もある。6/9高値を起点としたレンジ相場もイメージできる。だとしたら、5日移動平均線(22,718円 同)や10日移動平均線(22,492円 同)、25日移動平均線が集中する22,600円処までの調整程度はあっても不思議ではない。
当面の上値のフシは、2/25の急落で形成したマド埋めの23,378円〜昨年11月高値レベルの23,600円処となる。6/9高値から6/15安値までの下げ幅の1.5倍返し24,000円、6/9高値から6/15安値までの下げ幅の倍返し24,841円などにも注目。3/19安値から3/25高値までの上昇幅を6/15安値から同値幅上げた24,735円にも近く、上昇継続の場合の重要なフシとなる。一方、7/31安値(21,710円)を下回る場合、21,000円や20,000円の心理的フシまで下落余地は拡大する公算が大きい。(了)
図表1:日経平均株価の日足チャート(2019/8/1-2020/8/13)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、4-6月期GDP速報値(8/17)、6月機械受注、7月貿易収支、7月訪日外客数(8/19)、7月全国消費者物価指数(8/21)などがある。
企業決算では、ビジョン、フォーバル、総医研、ビジョナリー、FCHD、太平製(8/17)、あいHD、国際計測(8/18)、北川精機、玉井船(8/19)、船総研HD、グリー、藤久(8/20)、VTHD(8/21)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表は、米8月NY連銀景気指数、米8月NAHB住宅市場指数、米6月対米証券投資(8/17)、米7月住宅着工件数(8/18)、FOMC議事録(7/28〜7/29開催分)(8/19)、米8月フィラデルフィア連銀景気指数(8/20)、米7月中古住宅販売(8/21)などがある。
米企業決算では、ウォルマート、ホームデポ(8/18)、エヌビディア、ターゲット(8/19)、ギャップ、ヒューレット・パッカード(8/20)などが発表を予定している。
来週の注目銘柄(2020/8/17〜8/21)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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1827 | 510 | 350 | 医療、物流など多彩な民間建築が主体の中堅ゼネコン。同社の前期売上高は1,170億円(前の期比0.1%減)、営業利益は41億円(同25.1%減)と軟調となった。建設事業で、東南アジアでの受注は6割増と大きく伸びたものの、国内では3割減となり、前の期並みの着地。今期は増収減益の見通しとなっている。決算を受けて株価は堅調な動きを見せ、13週移動平均線を上抜け。足元ではさらに26週移動平均線も抜けており、テクニカル的ポイントから買いは向かいやすい。今期予想PER6倍台という割安感もあり、今後も株価はしっかりとした値動きを見せるとみる。ターゲットは510円、ロスカットは350円 | |
1847 | 2,000 | 1,400 | 商業施設の新築・内改装が主力の建築中堅。同社の前期経常利益は42.4億円(前の期比7.6%減)と減少したものの、会社計画を上回る着地となった。不動産事業の大幅な増益が寄与。これが好感され、株価は強い反応を見せた。株価は4月に付けた底からかなり回復し、26週移動平均線上でもみ合いとなっている。52週移動平均線がレジスタンスとして意識されているようにもみえるが、PER4倍弱、配当利回り約5%というファンダメンタルズポイントが評価され、今後は強い値動きを見せるとみる。ターゲットは2,000円、ロスカットは1,400円 | |
8154 | 2,840 | 1,960 | 独立系総合エレクトロニクス商社。前期の営業利益は100億円(前の期比32.3%増)と好調な伸びを見せた。傘下の富士通エレクトロニクスの業績寄与や、電子部品事業で医療機器・車載関連向けの売上が堅調だった。新型コロナウイルスの影響を背景とした逆境ながら15期ぶりの最高益更新。株価は1,900〜2,300円のレンジでもみ合っているが、業績堅調な半面、PERが6倍にとどまっているミスマッチ感から、今後は買いが優勢になると考える。ターゲットは2,840円、ロスカットは1,960円 | |
8935 | 1,060 | 740 | 首都圏で「ガーラ」ブランドの投資用ワンルームマンション販売が主力。1Qの売上高は123億円(前年同期比44.9%減)、営業利益は9億円(同68.3%減)と大幅な悪化となった。これを受け、株価は一時760円付近まで下落。しかし、その後は悪材料の出尽くし感から下値を拾う買いが集中し、反発の動きを見せている。業績悪化は確かに悪材料ではあるが、同社は近年堅調な増収モメンタムを見せていた。新型コロナウイルスの影響に伴う事業環境の一時的な悪化と、今期予想PER5倍台という低さを照らし合わせると売られ過ぎ感は強く、今後は買いが徐々に強まると考える。ターゲットは1,060円、ロスカットは740円 | |
9514 | 800 | 560 | 省エネ支援と木質バイオマス発電が2本柱。同社の前期営業利益は29億円(前の期比2.7%増)と小幅ながら増益での着地となった。加えて、今期営業利益予想も30億円(前期比2.5%増)とプラスの計画。バイオマスを含めた再生エネルギー市場は欧米を中心に広まり、日本でも普及の動きが強まっている。しかし、成長産業ながら同社のバリュエーションは低く、今期予想PERは8倍以下。足元では52週移動平均線に上値を抑えられている状況だが、上記した買い材料を軸に、今後は上抜けした後、堅調な値動きを見せると考える。ターゲットは800円、ロスカットは560円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・東証1部上場銘柄で8/13現在、時価総額が1,000億円未満、PERが8.0倍以下、PBRが1.0倍以下、配当利回りが1.2%以上の中から、業績面、テクニカル面、話題性などを総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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