来週の株式見通し(2022/5/23〜5/27)
来週(2022/5/23〜5/27)の日経平均株価の予想レンジは26,200円〜27,000円。米国株の短期的な落ち着きを受け、下値固めが進展する公算が大きい。材料難の中で上値を積極的に追える環境ではないが、押し目買いが支えとなる。
国内企業の期初の控えめな業績見通しは例年通り。業種別に業績見通しはまちまちだが、短期的には商品市況や為替市場の動向など外部環境に応じた日替わりの短期売買が主流か。特に今期増益率が減速、あるいは減益見通しの自動車や非鉄・鉄鋼・商社などは敏感に反応しやすい。
一方、米長期金利の上昇が一服し、ハイテクグロース株の見直し買いの余地が出てきた点は投資家心理の支えになる。米中の景気減速を意識した売買色が強くなっているが、インフレというコストアップによる収益圧迫懸念は日本も同じ。ただ、米長期金利が落ち着いてきたことでハイテク株主体の米ナスダックや小型株で構成されるラッセル2000の売られ過ぎの修正がダウ平均よりも優位に展開すれば、ナスダックに連想性が高い日経平均の支えになろう。ソフトバンクG(9984)の決算後の動きや、任天堂(7974)の上昇などからグロース株への見方も変わりつつある。
ドル円相場は米長期金利の上昇一服で、ドル高方向に上値が重くなっている。急激な円安の反動には株式市場はリスク回避として敏感に反応する公算が大きい。5/19に発表された5月第2週(5/9-13)の現物と先物の両取引を合算した投資主体別の売買は、海外投資家が現物・先物合算で2週ぶりに大幅売り越しとなった。来週も米主要指数の安値更新基調が続くなど外部環境の悪化が続くと、先物主導でCTA(商品投資顧問業者)やヘッジファンドによるプログラム売買で売り仕掛けが予想される。
日経平均株価(図表1)は3月前半にダブルボトムを形成した当時のネックライン水準から反発し、5/12安値(25,688円)からの反発基調が続いている。5/19は急反落となったが、5/12安値から5/18高値(27,053円)までの上昇に対する半値押し(26,329円、終値ベース)程度にとどまっており、再び上昇していけるかが焦点となる。
5/18高値は3月後半高値を起点に4/21高値を通る右肩下がりの短期上値抵抗線が上値のフシとして意識された。そのため、現状の半値押しを保った状態で上値抵抗線を上抜けることができれば、3/25高値(28,338円)を起点とした短期下降相場が一巡し、上昇転換を示唆するサインの1つが出現する。
短期的な上値メドとしては、75日移動平均線(26,813円 5/19)、昨年9/14高値(30,795円)を起点に11/16高値(29,960円)を通る右肩下がりの上値抵抗線、200日移動平均線(27,973円 同)など。下値メドは、5/12安値、3/15高値(25,441円)や25,000円付近、3/9安値(24,681円)などがある。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2021/7/1-2022/5/19)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、4月首都圏マンション発売(5/23)、5月都区部消費者物価指数(5/27)がある。
国内企業の決算発表では、DyDo(5/26)、SBI(5/27)などが予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、独5月Ifo景況感指数(5/23)、米4月新築住宅販売(5/24)、FOMC議事録(5/3〜5/4開催分)、米4月耐久財受注(5/25)、米1-3月期GDP改定値、米4月NAR仮契約住宅販売指数(5/26)、米4月個人所得・個人消費支出(5/27)などがある。
米企業の決算では、ベスト・バイ(5/24)、エヌビディア(5/25)、コストコ、ダラー・ゼネラル、ダラー・ツリー(5/26)などが発表を予定している。
来週の注目銘柄!(5/23〜5/27)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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1801 | 4,350 | 3,580 | 最大手ゼネコンの一角。決算と併せて自己株取得を発表したことが好感され、5/13に株価は急伸。2/8につけた3,890円を上回り、年初来高値を更新した。ゼネコン大手4社の中で今回の本決算発表時に自社株買いを発表したのが同社だけであったこともあり、その後も底堅く推移している。中期のチャートをみると、3,200円〜3,300円レベルがボトム圏になっており、今回も4月に3,335円まで下げたところで切り返した。一気に直近高値まで超えてきた動きはかなり強く、同業比較での評価が高まる可能性が高い。当面は2021年4月高値4,530円を目指す展開を予想する。ターゲットは4,350円、ロスカットは3,580円 | |
6141 | 2,050 | 1,580 | NC旋盤の大手。2022年12月期の通期の連結純利益予想(IFRS)を従来の250億円から280億円(前期比2.1倍)に引き上げた。EV、脱炭素、半導体製造装置向けなど幅広い分野で受注が好調としており、市場予想も上回る見通し。1Qも大幅増益で着地しており、不透明感の強いマーケット下では強い業績基調が買い安心感につながっている。株価は1月後半から下げを強めた後、3月に1,366円の安値を付けた。その後は持ち直しており、下値を切り上げながら100日移動平均線上に浮上した。すぐ上にある200日移動平均線を上抜けば一段と上値余地は拡大する。ターゲットは2,050円、ロスカットは1,580円 | |
6762 | 4,920 | 4,010 | 電子部品大手。HDD用磁気ヘッド、受動部品、2次電池などを展開している。2022年3期の営業利益は前期比で49%増の1,667億円となり、従来計画の1,600億円を超過した。2023年3月期は同11%増の1,850億円を見込む。株価は直近安値を起点に連続陽線の強い動きで200日移動平均線をクリアし、2/16高値4,780円が視野に入っている。主力グロース株に買い戻しが続いており、中でもPERが12倍を下回る同社株に対しては買い安心感がある。ターゲットは4,920円、ロスカットは4,010円 | |
7816 | 3,100 | 2,000 | キャンプ用品、アパレル製造販売。高級品に強み。2022年12月期の1Q(1-3月)の連結営業利益は9.4億円(前年同期比67%増)で着地した。キャンプ需要が続いており、大幅な増益となった。密を避けられるレジャーとして脚光を浴びてから、キャンプ沼にはまる人が続出している。通期計画に対する進捗率は17.9%だが、1-3月はもともとオフシーズンであり、需要が本格化する春以降から進捗も大きく伸びるとみる。株価は月次売上高の伸び鈍化を嫌気してきつい下げが続いていたが、5/11につけた安値2,015円からは戻り歩調にある。25日移動平均線の下方推移にとどまっているが、材料性が強く、信用倍率が1倍割れで取組妙味が支えになるとみられる。ターゲットは3,100円、ロスカットは2,000円 | |
9006 | 1,640 | 1,220 | 京浜、三浦半島地盤。羽田空港関連が成長の核となる。2022年3月期の営業損益は35億円の黒字で着地。従来計画では収支均衡を見込んでいたが、費用の削減に努めたことに加えて不動産事業での上振れが寄与した。2023年3月期に関しては、事業環境の平常化を想定して前期比2.3倍の80億円を見込む。株価は昨年12月に1,104円の安値をつけた後、今年に入ってからは上昇基調が続いている。25日移動平均線をサポートに4月は200日移動平均線を上回っており、先高期待は依然として強い。長期波動は2011年安値水準まで調整を強いられたが、月足では4月までに「五陽連」の底入れサインが確認できる。ターゲットは1,640円、ロスカットは1,220円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・5/18現在、東証プライム銘柄、時価総額が500億円以上、PERが28.0倍以下、PBRが7.0倍以下、配当
- 利回りが0.5%以上、今期営業増益予想(会社予想)、株価が10日移動平均線を上回っている中から、成長性や話題性を含め、総合的に考慮してピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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