来週の株式見通し(2022/8/1〜8/5)
来週(2022/8/1〜8/5)の日経平均株価の予想レンジは27,600円〜28,200円。東京株式市場は8月相場に突入する。米国株の持ち直しは相場全体の支えになるが、7月半ばまでの円安の反動で円高が一段と進む場合、生産回復がいまだに見通せない自動車株を中心とした輸出関連株の重荷となる。7/26-27に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では予想通りに0.75%の利上げにとどまった。米系ファンド筋などによる円売りポジションの手仕舞いなどを通じて、ドル円の上値が重くなっている。
国内企業の決算発表が続くことから、個別株への物色が中心となろう。これまで発表を終えたグロース株への決算評価は比較的厳しく、あるいは控えめである。一方、来週はトヨタ自動車や任天堂、また商社などの高配当や割安感のあるバリュー業種の発表も増えてくることで、反応が注目される。米長期金利の低下で年初から比較的大きく売られたグロース株に持ち直す動きがみられるが、決算をきっかけにバリュー業種への見直し買い機運が高まるかどうか、当面の物色の流れを予測するうえでミクロ面での重要な週となる。
一方、米中の重要経済指標の発表が多くなる週であり、マクロ面からも目が離せない。IMF(国際通貨基金)が経済成長率見通しを下方修正しており、中国7月の製造業PMIや財新製造業PMI、米7月ISM製造業・非製造業景気指数などには要注目だ。6月の中国PMIは好不況の分かれ目である50を4カ月ぶりに回復した。一方、6月の米ISM製造業景気指数は5月の56.1から53に低下し、約2年ぶりの低水準となった。新規受注に関しては約2年ぶりに50を下回っており、7月は総合で50を維持できるかに注目したい。
日経平均株価のトレンドは米中のPMIに連動性が高く、良くも悪くも結果次第では相場を動かす材料になる。
日経平均株価(図表1)は200日移動平均線(27,561円 7/28)上でもみ合いが続いており、6/9高値28,389円に向けて一段高につながるかどうか。
一方、6/13の下げで形成したマド埋めは完成したが、6/10の下げで形成したマドを残した状態である。200日移動平均線が依然として下向きの推移が続いていることや、値幅・日柄調整ともに中途半端であり、25日移動平均線(26,868円 同)との乖離が縮小するまでは動意薄が続くシナリオも想定される。
ただ、調整が続く場合でも27,000円付近までの揺り戻しは想定内であり、その先の動きが今後重要になってくる。
月足の分析では、モメンタム指標に注目である。モメンタムとは「勢い」を意味し、過去の終値に対する現在の騰落幅を計算する(現在値−過去の終値)。株価の上昇局面では、基本的にはモメンタムが増大する。反対に、株価の下降局面では、基本的にはモメンタムは減少する。モメンタムがマイナスからプラスに転じるときは、下降トレンドから上昇トレンドに転じるときであり、買いサインと判断する。逆に、モメンタムがプラスからマイナスに転じるときは、売りサインと判断する。
7月の日経平均株価は7/28現在、12カ月ベースのモメンタムは531円と、昨年12月以来久しぶりにプラスに転じている。ちなみに、昨年12月の1,347円のプラスを最後にマイナスに転じ、1月−661円、2月−2,439円、3月−1,357円、4月−1,964円、5月−1,580円、6月−1,580円と続いた。月末となる7/29の終値が27,284円以上ならプラスで終えることができる。8月は28,090円以上、9月は29,453円以上で終えることがプラス圏を維持するポイントになるが、まずは7カ月ぶりにプラスに転じることができるか注目である。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2021/7/1-2022/7/28)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表では、7月新車販売台数(8/1)、6月毎月勤労統計調査(8/5)がある。
国内企業の決算発表では、アステラス薬、京セラ、塩野義、小野薬、TDK、ANA、大ガス、住友化、JSR、大塚商、ヒロセ電、日本ハム、ミツコシイセタン、あおぞら、ハウス食G、大和工、南海電、丸和運輸、マクニカ富士、ニチアス、アトム、キッセイ薬、日立造、セ硝子、持田薬、プリマハム、千代建、オルガノ、日軽金HD、ティーガイア、GMOFHD、カッパ・クリエ、三菱総研、山洋電、住友理工(8/1)、三菱UFJ、ダイキン、三菱商、三井物、JR西日本、AGC、ユー・エス・エス、王子HD、東ソー、イビデン、双日、JR九州、カルビー、山崎パン、NSSOL、ニチレイ、ケーズHD、サンリオ、日ガス、ウシオ電、NOK、レンゴー、東京精、群馬銀、NTN、日曹達、キョーリンHD、リコーリース、ダイヘン、タカラスタン、百五銀、アクシアル、飯野海、三井倉HD、イリソ電子(8/2)、任天堂、ZHD、オリックス、花王、クボタ、SUBARU、郵船、野村HD、住友電、三菱ケミG、ヤマハ、阪急阪神、JFE、CTC、大東建、川崎船、小林製薬、リコー、東武、京王、太陽誘電、コンコルディア、カカクコム、空港ビル、大正薬HD、日油、カシオ、BIPROGY、日光電、ネットワン、ツムラ、富士急、寿スピリッツ、伊藤米久、ひろぎん、GSユアサ、科研薬、スカパーJ、三菱食品、エディオン、兼松、ジョイ本田、三洋化、JCU、サンゲツ、日東紡、コロプラ(8/3)、トヨタ、ソフトバンク、HOYA、ユニチャーム、シスメックス、日本製鉄、協和キリン、キッコーマン、旭化成、コナミG、日清食HD、TIS、スクエニHD、SUMCO、ニコン、アズビル、セガサミーHD、ヤマダHD、エア・ウォーター、西武HD、昭電工、TBSHD、F&LC、応化工、めぶきFG、フジHD、グリコ、ダイセル、タカラバイオ、長瀬産、ニッパツ、西松建、UBE、日触媒、DMG森精、宝HD、平和、ノエビアHD、五洋建、不二製油、日水、日鉄物産、古河電、ミズホリース、エレコム、グリー、セーレン、オカムラ、ニップン、ジャックス、H2Oリテイル、船総研HD、ゼリア新薬、タクマ、大阪チタ、日管財、UACJ(8/4)、伊藤忠、東京海上、NTTデータ、菱地所、MS&AD、バンダイナム、スズキ、丸紅、SOMPOHD、エーザイ、レーザーテク、三菱重、島津製、いすゞ、ミネベアミツミ、ヤマハ発、凸版印、ブラザー、千葉銀、三井化学、東センチュリー、関西ペ、リンナイ、丸井G、IIJ、ふくおか、三菱ガス、三浦工、Gウイン、京急、アルフレッサHD、アマダ、住友重、コムシスHD、ファンケル、セブン銀行、全国保証、デンカ、富士ソフト、シップHD、カチタス、フジテック、丸一管、フジクラ、ベネッセHD、FUJI、山口FG、ダイワボHD、アリアケ、テレ朝HD、東邦HD、住友倉、ニッコンHD、ダスキン、夢真ビーネ、アウトソシング、グローリー、ラウンドワン、稲畑産、パーカライ、サンケン電、アース製薬、日本紙、洋インキHD、SBSHD、日清オイリオ、亀田菓(8/5)が予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、中国7月製造業PMI(7/31)、中国7月財新製造業PMI、米7月ISM製造業景気指数(8/1)、米6月製造業受注、米7月ISM非製造業景気指数、OPECプラス会合(8/3)、英国金融政策発表、米6月貿易収支(8/4)、米7月雇用統計、米6月消費者信用残高(8/5)などがある。
米企業決算では、キャタピラー、マリオット・インターナショナル、ギリアド・サイエンシズ、ペイパル、スターバックス(8/2)、アムジェン(8/4)などが発表を予定している。
来週の注目銘柄!(8/1〜8/5)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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4477 | 500 | 307 | ECプラットフォーム「BASE(ベイス)」を運営しており、今期のBASE事業は前期の反動が見られるものの、それほど大きな影響を受けていない。他方で2018年に立ち上げた決済支援のPAY事業はGMV(流通取引総額)が伸び続けており、収益基盤は着実に成長している。先行投資の回収も着々と近づいていると考える。コロナ禍で株価が買われた代表的な銘柄の1つで、2020年中に異例の速さでダブルテンバガーを達成。2021年以降はブーム一服もあってか上昇分をほぼすべて吐き出す展開となった。一方で、今年に入ってからは下に突っ込んでも295円付近で下げ止まり、底を固めている。5/18高値が目先のフシとなるが、上回ることができれば出来高増加しながら4/5高値549円を目指す展開も予想される。ターゲットは500円、ロスカットは307円 | |
4055 | 1,980 | 1,390 | システム開発中堅。半導体工場の保守運用やAIを使った研究開発支援サービスなども手がける。上期営業利益は前年同月比67%増と大きく伸び、通期計画に対する進ちょく率も52%と順調。3月には主要取引先であるキオクシアが大型設備投資を行うと発表しており、来期以降にはなりそうだが今後の業績拡大にも大きく寄与すると考える。株価は4月からの大幅な下落を経て、5/12安値1,265円と6/21安値1,249円などを底に値固めを確認したばかり。7月後半からは上昇が顕著となり、出来高も増加してきている。移動平均線は短期線や長期線などが収れんしており、株価に上昇の勢いがつくのはこれからか。ターゲットは1,980円、ロスカットは1,390円 | |
7095 | 9,000 | 6,300 | データ分析を展開しており、証券会社向けなどにも注力している。前期営業利益は前の期比58%増の着地となり、今期も前期比29%増の予想。新型コロナの影響が継続する中でも、業績への影響は限定的と見込む。7/5付けの日本経済新聞朝刊で、金融庁が今夏にも私設取引システム(PTS)の規制緩和の検討に入ると報じられた。注力業界の活性化は同社の取引機会増加にもつながることから、続報に注目したい。株価は前述の報道を受けて思惑買いが膨らみ、7/5以降は上昇に拍車がかかった。7/11に7,680円の高値を付けた後は買いも一服したが、7/26には25日移動平均線を意識して反発しており、直近高値更新による一段高に向けて注目したい。同日大引け時点のPERは22倍台であり、東証グロースの中で比較すると割高感はない。好業績も支えに、再び買いを集めると予想する。ターゲットは9,000円、ロスカットは6,300円 | |
9369 | 1,450 | 1,100 | 食品物流大手。上期決算は連結の営業利益が前年同期比18.7%増の18.6億円と、2ケタの増益を達成。1Qの実績が6.2億円で直近3カ月で利益を大きく積み増した。決算は7/11の取引時間中に発表されたが、この日にしっかりプラスで終えると、7/21まで8日続伸と強い動きが続いた。足元の業績が良くなっている上に、外部環境を見渡すとリセッション懸念から原油価格が頭打ちとなっている。決算発表直後に大きく上昇したものの、PBRは1倍割れの水準で、バリュエーション面からは割安感も強い。7/25高値1,288円からスピード調整で値ごろ感も生じており、押し目買いのタイミングだろう。ターゲットは1,450円、ロスカットは1,100円 | |
9627 | 8,400 | 7,170 | 調剤薬局大手。2022年4月期の本決算を確認して6月前半に急伸した後は、値動きが良くなっている。前期の営業利益は前期比38.5%増の151.4億円。2023年4月期も同32.1%増の200.0億円を計画するなど、足元の業績は好調だ。コロナの感染被害が急拡大している上に、サル痘に関するニュースが連日で報じられ、ドラッグストアの利用頻度は高まると思われる。これらは業績の上振れ要因としても期待できる。7/11に7,720円まで上昇した後に調整が入ったが、上向きの25日移動平均線がサポートとなって反転しており、強い基調が改めて確認できた。直近の信用倍率は0.09倍と需給は軽い。この先は、2018年9月につけた9,330円や大台の1万円を試しに行く展開を予想する。ターゲットは8,400円、ロスカットは7,170円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・7/28現在、時価総額が3,000億円未満、PBRが10.0倍以下、株価が25日・75日移動平均線を上回っている、今期増収予想(日経予想)の中から、成長性や話題性に注力して総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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