来週の株式見通し(2022/10/17〜10/21)
来週(2022/10/17〜10/21)の日経平均株価の予想レンジは26,300円-27,300円。不安定な相場展開が続きそうだ。小売などの決算発表が一巡し、3月決算銘柄の多くが業績発表を前に手掛けづらくなるタイミングである。全体的に現物株への手控えムードが強まりやすい中、先物主導で乱高下する場面が増えそうだ。
証券会社による評価レポートも少ない時期でもあり、個別株や業種への物色もリターンリバーサル(逆張り手法)ぐらいしか選択肢がなく、全体的にトレンドレス(上昇・下落ともに続かない)の地合いが予想される。
一足先に決算発表が本格化する米国では、ネットフリックスやテスラなど、主力グロース企業の決算が出てくる。FRB(米連邦準備制度理事会)の金融引き締め強化姿勢が続く中、これらの決算内容や株価の反応に神経質となろう。
10/14の米国株式指標は大幅反落。10月ミシガン大1年先期待インフレ率速報値が前月から伸びが加速したことで、積極的な金融引き締めへの警戒感が強まった。前日に827ドル高と大幅反発したダウ平均は403.89ドル安(-1.34%)と大幅反落となった。主要3指数ともに前日に長い陽線を形成しており、その反動安とみればズルズル下げが続くことは想定しづらい。ただ、日中の変動幅がかなり大きくなっており、時間外の米国株の動向にも日経平均先物が連動性をより強める展開が予想される。
10/14の日経平均株価(図表1)は5日ぶりに上昇。上げ幅は一時900円を超える場面があり、終値で27,000円台を回復した。前日のマド埋めからの急速な切り返しが見られたことで、目先の底打ちに一歩近づいた。
基本的には依然として値固めの範ちゅうではあるが、10/6高値(27,399円)を上抜けるとダブルボトムに準ずるパターンとなり、8/17高値(29,222円)を起点とした短期下落波動は上昇に転換したサインとなる。
一方、10/6高値付近には短期のフシが集中している。一目均衡表の基準線(27,140円 10/14)や25日移動平均線(27,169円 同)、200日移動平均線(27,266円 同)、100日移動平均線(27,342円 同)、75日移動平均線(27,464円 同)などが推移する27,100円〜27,400円は抵抗が強い。米国株の急反騰が続くような状況でないと、戻り一巡後は再び強く押し戻される動きが続くことも予想される。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2021/7/1-2022/10/14)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表は、9月貿易収支、9月首都圏マンション発売(10/20)、9月全国消費者物価指数(10/21)がある。
企業決算では、マネフォワード、日本国土、バロック、サイバーS(10/17)、ディスコ、アルインコ(10/20)、サーティワン(10/21)が発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、中国共産党大会開幕(10/16)、米10月ニューヨーク連銀景気指数(10/17)、中国7-9月期GDP、中国9月鉱工業生産、中国9月小売売上高、米9月鉱工業生産、米8月対米証券投資(10/18)、米9月住宅着工件数、ベージュブック(米地区連銀経済報告)(10/19)、米9月中古住宅販売(10/20)などがある。
米企業決算では、バンク・オブ・アメリカ(10/17)、ネットフリックス、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ゴールドマン・サックス、ロッキード・マーチン(10/18)、テスラ、トラベラーズ、アボット・ラボラトリーズ、P&G(10/19)、ユニオン・パシフィック、フィリップ・モリス・インターナショナル(10/20)、アメリカン・エキスプレス、ベライゾン・コミュニケーション(10/21)が発表を予定している。
来週の注目銘柄!(10/17〜10/21)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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2440 | 550 | 441 | グルメサイト「ぐるなび」を運営している。8/3には期初予想の32.5億円の営業赤字から25.5億円の赤字に上方修正したものの、引き続き厳しい業績を見込む。ただ、第7波の収束や全国旅行支援などに加え、都内の「Go Toイート」再開が伝わった。今年に入ってからは外食機会の増加がすでに顕著となっており、一層の需要増加を期待したい。株価は前述の上方修正が好感され、8/12には一時500円手前(497円)まで回復。いったんの調整売りが入ったものの、その後は400円台で定着している。「Go Toイート」の話題は久しぶりであり、報道が最初に伝わったのは10/14の14時以降。大引け30分前から急上昇したものの、情報が今後いっそう広がることが想定され、モメンタムの上昇はしばらく続くとみる。ターゲットは550円、ロスカットは441円 | |
4384 | 3,450 | 2,350 | 印刷通販サイト「ラクスル」の運営などを行う。今期営業利益は前期比2.2倍〜2.9倍を見込み、主力の「ラクスル」は売上総利益・セグメント利益拡大を重視する方針。旅行支援策や水際対策の緩和もあり、販促物の注文増加など恩恵が得られると考える。株価は2021年11月の高値7,310円から見ると、今年6月に1,422円を付けて8割下落した。そこからは上昇に転じ、9月半ばには一時3,000円手前まで回復。いったん調整売りが入ったものの、25日移動平均線付近で下げ止まり、10月からは軟調な地合いのなかでも買いが優勢となっている。足元では日足のボリンジャーバンド+1σをバンドウォークしており、ここを上抜けられれば4月の高値3,585円も視野に入る。ターゲットは3,450円、ロスカットは2,350円 | |
4479 | 1,840 | 1,220 | 応援購入型のクラウドファンディングサービス「Makuake」を運営している。9/9に前期の各利益予想を一転赤字に下方修正。10/24には本決算発表を予定しており、今期ガイダンスで市場予想を上回る黒字見通しとなるか注目が集まる。このところの動向では、前述の下方修正が嫌気され1,800円前後だった株価が10/3には一時1,149円まで下落。一方、足元では反発からの上昇が継続し、1,300円台を回復した。日足のボリンジャーバンドでは-2σのバンドウォークから浮上してきたほか、マザーズ指数との連動性も薄まっている。決算も近いことから、期待感による買いが続くと予想する。ターゲットは1,840円、ロスカットは1,220円 | |
4587 | 2,500 | 1,505 | 創薬探索プラットフォーム「PDPS」を使った大手製薬との医薬品候補物質の共同開発などを行う。2022年12月期上期では11.8億円のコア営業赤字だが、下期に複数のクロージングを予定しており、通期計画66億円のコア営業黒字は据え置いている。3月には富士フイルム富山化学の放射性医薬品事業を取得完了しており、同事業を承継したPDRファーマの進ちょくなども関心が高まる。株価は2021年2月に付けた6,540円から、6月安値1,204円にかけて8割下落。その後はやや値を戻し、8〜9月にかけては1,500円〜1,700円台のレンジで推移していた。同レンジで底を固めていたところ、直近では75日移動平均線が上向き始めている。一目均衡表の抵抗帯(雲)からも再び上抜けてきたことから、保ち合いから上放れを試すと予想する。ターゲットは2,500円、ロスカットは1,505円 | |
7359 | 1,950 | 1,340 | 簡単な操作で気軽に遊べる無料ゲームの開発などを手掛ける。話題となった「Big Makeover」をはじめ、YouTubeの動画広告でゲームを知る人が多い。最近ではニンテンドースイッチ向けのゲーム配信にも注力するほか、メタバース事業の新会社も設立している。不安定な相場環境では、話題性に富んだ同社への注目度が高まりやすいとみる。株価は上場初日の2,572円が上場来高値となり、その後は今年5月に522円の安値をつけるまで一本調子で下落していた。その後は前述の「Big Makeover」やメタバースに絡むリリースなどを手掛かりに大きく上昇。9月には一時1,960円をつける場面もみられた。利益確定売りに押されても、直近では25日移動平均線を支持線として上昇トレンドを維持。10/11には日経平均株価が700円超下落する中でも、同社は3%超上昇しており、今後も個別物色が強まると予想する。ターゲットは1,950円、ロスカットは1,340円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・10/14現在、東証プライム・グロース銘柄で時価総額が3,000億円以下、PBRが10.0倍以下、株価が10日移動平均線を上回っている中から、業績面、成長性や話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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