今週の株式見通し(2023/1/16〜1/20)
今週(2023/1/16〜1/20)の日経平均株価の予想レンジは25,550円-26,250円。東京株式市場は不安定な地合いが予想される。最大の注目材料は1/17-18に開催される日銀金融政策決定会合(以下、日銀会合)の結果や黒田日銀総裁会見となる。前回、不意打ちの金融政策の修正があったことで、日銀に対する信認が大きく揺らいでいる。イールドカーブ・コントロール(YCC)の長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.5%程度まで拡大することが決まったが、足元の金利はその上限水準で推移しており、再度の修正を余儀なくされるのではとの警戒が根強い。
現状維持なのか、許容変動幅の拡大か、あるいはYCCの撤廃となるかで市場の反応は異なる。現状維持であれば当面の政策不透明感はくすぶるものの、短期的には円安・株高の反応が期待できそうだ。一方、会合までの短期間での織り込み度合いにもよるが、2会合連続での許容変動幅の拡大やYCCの撤廃などがあれば、先物市場を通じた投機的な売買に翻ろうされる場面が想定される。
国内長期金利の上昇を受けて不動産株は手掛けづらく、金融株は日銀会合前後で値動きが荒くなる公算が大きい。円高の環境下で製造業を中心に大型株も手掛けづらい。2月決算企業などの業績発表が一巡し、1月第4週目から始まる3月本決算企業の第3四半期決算発表まで空白期間となる。そのため、為替市場の動向に比較的縁遠い小型グロース株を個別物色する流れが予想される。
一方、海外市場では欧州株が相対的に堅調だ。史上最高値にあとわずかに迫ったFTSE100を中心に昨年8月や11月の戻り高値を更新した主要指数が多く、上向きトレンドに変わった可能性を示唆している(図表1)。日米出遅れ感が指摘される中、米国市場もダウ平均が34,000ドル台回復、ナスダックは6連騰と2011年11月以来の長期連騰記録で底入れ感が強くなっている。ここから米国株の巻き返しが強まれば、日本株にも追い風となろう。海外投資家は12月の日銀金融政策決定会合があった週だけで日本株を先物と現物合算で1兆円売り越しており、今週の日銀会合の結果次第では日本株への買い戻しを強める可能性が高い。そういった意味では日銀会合がよくも悪くも相場の分岐点となりえる。
バリュエーション面やテクニカル面では底値圏を示唆している。日経平均株価は昨年5月以降の安値圏にあるほか、予想PERは12.2倍(1/13現在)、PBRで1.1倍に近く、きっかけ次第では急反発も想定される。2021年以降、64日〜72日の間隔で安値をつける周期が観測されており、昨年10/1安値から次に72日目が到来するのが日銀会合の結果が判明する日となる。
図表2:欧米株とTOPIXの指数化チャート(2022/1-2023/1/13)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表2)は26,000円前後で下げ渋っている。一方、1/13は寄り付きから下値模索となり、昨年3/9安値(24,681円)を起点に10/3安値(25,621円)を通る右肩上がりの支持線まで一気に調整するなど、不安定な値動きが続いている。
1/4安値(25,661円)からの戻り基調は続いているが、今週前半は支持線からの反発がみられるかが焦点となる。下回る場合でも1/4安値を割り込まずに支持線上に早期に回復することがベターである。
上値メドとしては、心理的節目(26,500円)、25日移動平均線(26,788円 1/13)、12/20の大陰線の中値(26,878円)、75日移動平均線(27,171円 1/13)、12/16安値(27,488円)など。短期的な下値メドは、1/6高値(26,034円)、1/4安値(25,661円)、10/3安値(25,621円)、心理的フシ(25,500円)〜6/20安値(25,520円)、3/9安値(24,681円)などがある。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2022/1/4-2023/1/13)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントは、12月企業物価指数、12月工作機械受注(1/16)、日銀金融政策決定会合(〜1/18)(1/17)、黒田日銀総裁会見、日銀が経済・物価情勢の展望(展望レポート)を公表、11月機械受注、12月訪日外客数(1/18)、12月貿易収支(1/19)、12月全国消費者物価指数(1/20)がある。
企業決算では、マネフォワード、サムティ、日本国土、テラスカイ、バロック、古野電、メディアドゥ、MrMaxHD(1/16)などが発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントは、世界経済フォーラム(ダボス会議)(〜1/20)(1/16)、中国10-12月期GDP、中国12月鉱工業生産、中国12月小売売上高、米1月ニューヨーク連銀景気指数(1/17)、米12月生産者物価指数、米12月小売売上高、米12月鉱工業生産、米地区連銀経済報告(ベージュブック)(1/18)、米12月住宅着工件数、米1月フィラデルフィア連銀景気指数(1/19)、米12月中古住宅販売(1/20)などがある。
主な米企業決算では、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、ユナイテッド・エアラインズ(1/17)、ネットフリックス、P&G(1/19)が発表を予定している。
なお、1/16の米国市場はキング牧師誕生記念日のため休場となる。
今週の注目銘柄!(1/16〜1/20)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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5711 | 2,500 | 2,030 | 非鉄の総合首位。昨年11/10に通期の業績予想を下方修正したものの、上期着地が市場予想を上回ったこともあり、翌日の株価は買われる格好となった。原油価格は下落傾向であり、コスト高の改善が期待できる。今期は特別損失の影響でPERが高くなっているものの、来期には解消が予想されるほか、PBRも0.4倍台と同業種に比べて割安感がある。株価はここ10年の安値圏にあり、コロナショック後からは1,800円前後を底値として推移。昨年11月に入ってからは200日移動平均線を下から上回るなど、チャートが好転している。足もとの調整で200日移動平均線を一時割り込んだあとは急速に切り返しており、12月の戻り高値(2,278円)更新が射程圏に入っている。ターゲットは2,500円、ロスカットは2,030円 | |
6337 | 4,000 | 2,650 | 半導体用の選別装置や測定装置の大手。昨年10月終盤に2023年3月期の通期予想の上方修正と増配を発表。好業績のパワー半導体関連として人気化した。PC・スマホ向けは需要減となっているものの、車載向けなどのパワー半導体需要は引き続きおう盛。PERも7倍台と割安感が強い。株価は上述の上方修正を好感して急上昇。ほぼ1カ月で1,700円台から4,000円近くまで上昇した。その後は利益確定売りが優勢となったものの、13週移動平均線付近で下げ止まり、戻り歩調にある。米長期金利低下でスタンダード市場やグロース市場に見直し買いが入りやすく、中でも業績の裏付けのある銘柄として注目したい。ターゲットは4,000円、ロスカットは2,650円 | |
6539 | 1,280 | 950 | 企業の管理部門職種や士業(公認会計士や弁護士など)に特化した人材関連サービスを展開する。昨年11月、上期決算と併せて中期経営計画や配当見通しの大幅引き上げを発表した。株価は上述の材料に大きく反応し、11/14には1,140円まで上昇する場面があった。その後は値幅調整を強いられたが、一目均衡表の雲を支持にしっかり戻ってきている。人材関連の中でも専門性が高い上に、大幅増配により配当利回りは4%を超える。攻めと守りの両面で買える要素があり、チャート好転を受けて再評価機運が高まると予想する。ターゲットは1,280円、ロスカットは950円 | |
7012 | 3,400 | 2,660 | 国内重工大手の一角で、旅客機分担品や鉄道車両のほか、最近では水素エンジンやアンモニア発電などの脱炭素戦略にも積極的に取り組む。今期の最終利益予想はコロナ前の2019年3月期を上回る見通し。一方でPBRは0.9倍台と割安感があり、直近はやや売られすぎと考える。株価は2021年12月安値、2022年3月安値でダブルボトムを形成し、その後は下値を切り上げる上昇波動が続く。昨年12月中旬につけた高値(3,285円)からの調整局面にあるが、ストキャスティクスなどが売られすぎの底値圏にあり、いつ反転上昇に移行しても不思議ではない。ターゲットは3,400円、ロスカットは2,660円 | |
7224 | 1,200 | 985 | ダンプなどの特装車や防衛省向け救難飛行艇を製造している。今期は小幅な増収を見込む一方、原材料高などにより2ケタの減益予想。ただ、配当利回りは4%近く、前期末時点の受注高は伸びており、今後は防衛関連の受注増加も期待できる。昨年9月以降、株価は75日移動平均線付近に上値が抑えられていたが、防衛費増額の報道を手掛かりに12月半ばから大きく上昇し同線を上方ブレイクした。12/26高値(1,094円)からは相場全体の低迷に引きずられ調整局面にあるが、75日移動平均線まで下げてきたことで見直し買いによる反転上昇に期待できそうだ。国策かつ好配当銘柄として物色が続くと予想する。ターゲットは1,200円、ロスカットは985円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・1/13現在、東証プライム・スタンダード銘柄で時価総額が5,000億円未満、PBRが3.0倍以下、配当利回りが2.0%以上、株価が75日・200日移動平均線を上回っている銘柄の中から、業績面、成長性、話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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