今週の株式見通し(2023/8/7〜8/10)
今週(2023/8/7〜8/10)の日経平均株価の予想レンジは31,600円-32,600円。東京株式市場は方向感に乏しい展開か。8/11が山の日で休場。先週の不安定な動きで投資家の積極的な押し目買い意欲は後退している。引き続き、米国株、為替、米長期金利に神経質となる地合いが続く公算が大きい。米長期金利の上昇一服は追い風となるが、それに伴うドル安・円高は指数の戻りを抑える要因となる。
一方、8/10発表の米7月消費者物価指数(CPI)が、ここ最近のトレンドからは米国のインフレへの警戒を和らげる材料として期待できる。ただ、その結果や米国株式の反応を確認する前に三連休入りとなる。国内は引き続き決算が多く、業績を吟味した個別物色の様相が強まる展開が予想される。今週で主力どころが概ね出そろうことで、週後半はお盆休みを前に夏枯れを警戒した動きとなる可能性がある。決算銘柄以外に、内需セクターや出遅れ感のある小型グロース株なども含め個別色の強い一週間となりそうだ。
7月相場ではTOPIX(東証株価指数)が年初来高値を更新し、月足のローソク足は1月から「七陽連(7ヶ月連続の陽線)」となった。一方、下ヒゲが長く実体が短い陽線を形成。相場が長く下落を続けた後に出現する場合は、「たくり足」として底入れにつながることが多いが、長く上昇を続けた後に出現する場合は、上げ一服になるともいわれている。
8月は夏休みシーズンで夏枯れ相場も意識される。図表1で、日経平均株価の2013年〜2022年までの年間推移の平均をみると、7月までは比較的しっかりだが、8月は調整する傾向がある。同時に年末に向けた上昇への起点になってきたことにも気づく。
2023年は1/4の大発会を起点に6月まで強いモメンタムが続いたため、7月に続いて8月も調整局面(保ち合い)が続く可能性はあるが、保ち合いは決して悪い株価パターンではない。むしろ、それまでのトレンドを引き継ぐ「踊り場」になることが多い。
図表1:日経平均株価の週次の年間推移(2013-2022)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
日経平均株価(図表2)は年初来高値からの調整局面が続いている。7/12安値(31,791円)から持ち直す局面もあったが、先週は急落。25日移動平均線(32,704円 8/4)を再び割り込む展開となった。
6/19高値(33,772円)以降のレンジ相場維持のためには、7/12の終値ベースの安値(31,943円)を下回らずに切り返す動きが必要だ。まずは、8/3の下落で開けた上のマドを埋め戻せるかが焦点となる。
一方、10日移動平均線(32,741円 同)、25日移動平均線が集中する水準は上値抵抗が強い。それらを下回る推移を続けながら7/12安値を下回ると、下方への値幅調整が拡大する可能性が高まる。
上値メドは、25日移動平均線、心理的節目の33,000円、8/1高値(33,488円)、6/19高値(33,772円)、2021年9月高値から2022年3月安値までの下落幅に対する1.5倍返しとなる33,850円処などが考えられる。下値メドは、心理的節目の32,000円、7/12安値(31,791円)、6/8安値(31,420円)〜75日移動平均線(31,538円 同)、心理的節目の31,000円や30,500円などがある。
図表2:日経平均株価の日足チャート(2022/11/1-2023/8/4)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントでは、日銀金融政策決定会合の「主な意見」(7/27〜28開催分)、6月景気動向指数(8/7)、6月毎月勤労統計調査、6月家計調査、7月景気ウォッチャー調査(8/8)、7月工作機械受注(8/9)、オプションSQ、7月企業物価指数、7月都心オフィス空室率(8/10)などがある。
国内企業の決算では、東京海上、大和ハウス、東芝、レーザーテク、住友鉱、東レ、大成建、大林組、JSR、東急不HD、ブラザー、王子HD、三菱ガス、岩谷産、京阪HD、住友重、ワークマン、ライオン、住友ゴム、SANKYO、コムシスHD、テクノプロHD、全国保証、F&LC、住友ベ、ナカニシ、帝人、フジテック、丸一管、デンカ、ウシオ電、東芝テック、日製鋼、日触媒、西日本FH、カチタス、ニチアス、ノエビアHD、パイロット、ラウンドワン、長谷川香、日東工、日本紙、三星ベ、マルハニチロ、洋インキHD、レノバ、北洋銀行、日ピラー、東洋紡(8/7)、ソフトバンクG、ダイキン、MS&AD、NTTデータG、資生堂、バンダイナム、シスメックス、ニトリHD、キリンHD、ヤマハ発、大日印、ダイフク、東急、明治HD、トレンド、出光興産、マツダ、アシックス、リコー、SUMCO、横河電、住友林、栗田工、アズビル、ニコン、ユー・エス・エス、川重、小林製薬、IHI、神戸鋼、関西ペ、丸井G、アマダ、JR九州、IIJ、レゾナックHD、ハーモニック、THK、京急、楽天銀行、応化工、フジクラ、太平洋セメ、アルバック、東海カ、ケーズHD、宝HD、シップHD、森永菓、タカラバイオ、日清紡HD、阪和興、安藤ハザマ、三井金、稲畑産、不二製油、タカラトミー、クレハ、JESHD、JTOWER、HUグループ(8/8)、ソニーG、NTT、ホンダ、SMC、ブリヂストン、富士フイルム、テルモ、オリンパス、アサヒ、INPEX、ネクソン、SOMPOHD、セコム、サントリーBF、いすゞ、鹿島、ホトニクス、GMOPG、コーセー、NXHD、ロート、東センチュリー、空港ビル、博報堂DY、長谷工、日揮HD、クラレ、三浦工、名鉄、JMDC、堀場製、スズケン、コカコーラBJH、三菱マ、第一興商、GMO、ADEKA、アンビス、カネカ、DOWA、石油資源、Jマテリアル、DIC、大栄環境、平和、ペプチド、ピジョン、ガンホー、森永乳、DeNA、ユニバーサル、共立メンテ、円谷フィール、Dガレージ、ワコールHD、上村工業、ニプロ、リンテック、アトム、スターツ、サワイGHD、JDI、カバー、雪印メグ(8/9)、東エレク、リクルートHD、ゆうちょ、日本郵政、日ペイントH、第一生命、菱地所、住友不、ENEOS、三菱HCキャ、T&DHD、マツキヨココカラ、楽天G、ゼンショーHD、近鉄GHD、日産化、かんぽ、ホシザキ、マクドナルド、飯田GHD、パーソルHD、メルカリ、浜ゴム、サンドラッグ、ラクス、すかいHD、クレセゾン、セイノーHD、日本新薬、東建物、コスモエネHD、八十二、ショーボンド、デサント、エクシオG、富士ソフト、九州FG、ヤオコー、TOYOTIRE、リログループ、サッポロHD、いよぎん、マブチ、ニッパツ、東映、戸田建、日電子、リゾートトラス、福山運、TKC、西鉄、メニコン、大王紙、ミライト・ワン、オープンUP、PHCHD、高砂熱、KeePer技、ミルボン、三谷商、センコーGHD、アイフル、北越コーポ、CKD、タダノ(8/10)が発表を予定している。
一方、海外の経済指標の発表やイベントでは、米6月消費者信用残高(8/7)、中国7月貿易収支、米6月貿易収支(8/8)、中国7月生産者物価指数、中国7月消費者物価指数、米10年国債入札(8/9)、米7月消費者物価指数、米7月財政収支、米30年国債入札(8/10)、米7月生産者物価指数、米8月ミシガン大学消費者信頼感指数(8/11)などがある。
米国企業の決算では、タイソン・フーズ(8/7)、イーライリリー、UPS(8/8)、ウォルト・ディズニー、イルミナ(8/9)が発表を予定している。
来週の注目銘柄(2023/8/7〜8/10)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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3941 | 1,050 | 876 | 段ボール大手。8/3の取引時間中に1Q決算を発表。製品価格の改定などにより、市場予想を上回る大幅な営業増益となった。実績が素直に好感されて株価はプラス転換。年初来高値を更新する強い動きをみせた。今回の決算発表を受け、一時は964.3円まで上昇。6月半ばまで続いた歴史的な株高を受けても超えられなかった5/15高値925円を上回った。1Q時点では業績予想は据え置かれたが、同社の今期配当性向は2割以下であり、時流に乗って増配する可能性もある。このごろは出遅れ修正からか紙・パルプの買いも目立っており、好業績・還元強化の期待から上昇が続くと予想する。ターゲットは1,050円、ロスカットは876円 | |
5445 | 3,850 | 3,040 | 電炉中堅で建築用棒鋼を主力としている。7/31の取引時間中に2024年3月期1Q(4-6月)の決算を発表。小幅減収だったが、営業損益は24.6億円の黒字(前年同期は1.3億円の赤字)に転じた。通期計画に対する進ちょく率は38%と順調であり、2Q以降に鉄スクラップ価格がさほど上昇しなければ、計画上振れの可能性も高まる。株価は5月に今期大幅増益と増配を発表してから順調に推移。前述の1Q決算も好感されて7/31は今年の高値を付けた。上昇基調が続く中、RSIの9日ベースはピークアウトから低下傾向にあり過熱感は解消された。下値を切り上げる右肩上がりの推移が続くことが予想され、押し目買いとして注目だ。ターゲットは3,850円、ロスカットは3,040円 | |
7408 | 1,850 | 1,485 | 航空機の関連製品を手がけており、ボーイング向けに強みを持つ。ボーイングが材料で上昇した際に連動して買われる特性がある。株価は今年の2月に1,855円まで上昇した後に大きく売られたが、4月に1,308円まで下落したところで底を打った。以降では、8/1の直近高値1,710円まで上昇する過程で6/23高値1,596円を上回り、下値を切り上げる動きが続く。週足の一目均衡表では抵抗帯(雲)の上限を支持に基準線を上回ってきており、昨年来高値となった2/10高値1,855円が視野に入ってきた。決算発表は8/10を予定している。ターゲットは1,850円、ロスカットは1,485円 | |
7532 | 3,230 | 2,650 | ディスカウント店「ドン・キホーテ」などを展開する。株価は6月まで2,500円を中心に上下200円レベルでのレンジ相場が続いていたが、7月に入ってからの動きがよく、レンジを上放れた。8/2には2,855円まで上昇し、上場来高値を更新した。8/16に本決算の発表を予定しているが、3Q決算発表時に通期見通しを引き上げるなど、業績は好調。6月の月次は前年比プラスを達成しており、2023年6月期は月次で前年割れとなることが一度もなかった。来期に関しても業績好調が期待できる中、本決算に向けて水準を切り上げる展開を予想する。ターゲットは3,230円、ロスカットは2,650円 | |
7730 | 2,200 | 1,690 | 手術用の縫合針など医療機器の製造・販売を手がける。7/13に発表した3Q決算では、営業利益が前年同期比19.5%増の54.3億円と良好な内容が確認できた。アジア、欧州、南米などの地域で製品需要が拡大し、円安も追い風となったとのこと。株価は決算を受けた7/14に大幅上昇。決算発表前は緩やかな下げトレンドが続いていたが、これまで抵抗となっていた75日移動平均線を難なく超えてきた。200日移動平均線で頭打ちとなっているが、押し目買いのスタンスが有効とみる。週足でも7月中旬に形成した陽線で底入れ感が強く、昨年11月高値2,362円に向けて上値を試す動きが予想される。ターゲットは2,200円、ロスカットは1,690円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・8/4現在、プライム市場に上場、時価総額が300億円以上、PBRが4.0倍以下、PERが40.0倍以下、今期業績が増収営業増益予想(日経予想)、株価が13週・26週移動平均線を上回っている中から、成長性や話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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