今週の株式見通し(2023/10/2〜10/6)
今週の日経平均株価の予想レンジは31,500円-32,500円。東京株式市場は10月相場入りとなる。引き続き、米国の株式市場や長期金利の動向に神経質な展開が予想される。今週は日銀短観に加え、米国の方ではISM製造業景気指数や雇用関連指標など主要な経済指標の発表がある。特に米国の経済指標結果が長期金利を低下させる要因となれば、先週末にリバランスの影響で大幅に売られた日経平均採用銘柄に買い戻しが入りやすく、指数の反発に好影響を与える。
個別株ベースでは、国内企業の決算発表が少し増加することや、ノーベル賞の発表などもあり、関連する企業があれば物色人気が集まる可能性がある。
9月の日経平均株価は上に往ってこいの値動きとなった。一時は8月の戻り高値を更新して7/3の年初来高値まであと一歩に迫る場面もあったが、米長期金利の上昇で米国の株式市場が軟調に推移したことが月後半の失速の要因となった。一方、現状は6月以降でのもち合い相場の範ちゅうであり、10月相場は年末高に向けての値固めに期待したい。
為替市場で1ドル=150円に迫る円安が進行しており、当局の介入などを通じた円高方向への反転は株式市場にとっては上値の重荷となる。だが、米長期金利の高止まりが続く中では円高方向への反動は限定的で、株価を押し下げる材料にはならないだろう。
月前半は物色面ではリターン・リバーサル(下がった銘柄や業種を買い、上がった銘柄や業種を売る)色が強い展開が予想される。この半年間でパフォーマンス下位の繊維、非鉄金属、精密機器、金属、化学、医薬品、サービス、電気機器などへの見直し買いが入りやすい一方、上位の鉱業、銀行、輸送用機器、電気・ガス、保険、海運、卸売、その他金融などは相対的に上値が重くなりそうだ。
海外投資家による資金流入が多い月でもある。米主要指数に持ち直しがみられれば、その傾向が強くなることが予想される。10/4の「証券投資の日」から翌年3月末までのTOPIXの騰落率は比較的良好である。2003年以降を振り返ると、直近ではコロナショックで悪化する年もあって騰落率にはムラはあるが、相場の方向性をみる上で1つのアノマリーが確立している。今年3月末までは約5%程度の上昇にとどまったものの、9月の年初来高値までは約27%上昇した。
10月終盤から始まる3月期本決算企業の中間決算の発表が注目材料となる。前回の決算からは電機・精密・機械などのハイテク系銘柄に大きく下げたものが目立ったが、円安進行なども追い風に悪材料出尽くしになるかが焦点となる。海外投資家からは株主還元策の拡充や資本効率改善策への評価が高まるかも、年末に向けてのもち合い上放れのカギとなりそうだ。
日経平均株価(図表1)は9/15高値(33,634円)からの調整が続いている。100日移動平均線(32,231円 9/29)を下回る展開となっており、8月中旬の安値水準を意識して下げ止まれるか。言い換えれば、レンジ相場の下限で下げ止まれるが焦点となる。
上値メドは、100日移動平均線、25日移動平均線(32,619円 同)、心理的節目の33,000円、9/15高値(33,634円)、6/19高値(33,772円)などが考えられる。下値メドは、8/25安値(31,572円)、8/18安値(31,275円)、心理的節目の31,000円、2021年9月高値(30,795円)〜心理的節目の30,500円などがある。
9月相場が終わり、月足ローソク足は7月から3カ月連続の陰線となった。ただ、6月の陽線のレンジ内に3本とも収まっており、10月は上昇再開につながるかが焦点となる。
月足の一目均衡表では転換線が再び上向きに転じることで、株価上昇の追い風になるかが注目される。
図表1:日経平均株価の日足チャート(2022/11/1-2023/9/29)
- 出所:QUICKよりDZHフィナンシャルリサーチが作成
主要な国内経済指標の発表やイベントでは、 9月日銀短観、9月新車販売台数、日銀金融政策決定会合の「主な意見」(9/21〜9/22開催分)(10/2)、10年国債入札(10/3)、8月家計調査、8月毎月勤労統計調査、8月景気動向指数(10/6)がある。
企業決算の発表では、しまむら、ダイセキ、ネクステージ、象印、ナガイレーベ、瑞光、ダイセキソリュ(10/2)、クスリのアオキ、霞ヶ関キャ、オークワ(10/3)、不二越、エスプール、天満屋ス、バイク王(10/4)、キユーピー、OSG、サンエー、トーセイ、オンワードHD、薬王堂HD、クリーク&リバ、三協立山、アヲハタ、アオキスーパー、日本BS放、フェリシモ、東海ソフト、アルテック、イーサポート、ニューテック、カルラ(10/5)、安川電、久光薬、サカタのタネ、壱番屋、ハイデ日高、アークランズ、WNIウェザー、ワキタ、大有機、サーラ、わらべや、ヨンドシーHD、北興化、ジャステック、三陽商、マルマエ(10/6)が予定している。
一方、海外の経済指標やイベントでは、ノーベル医学生理学賞発表、米9月ISM製造業景気指数(10/2)、ノーベル物理学賞発表、米8月JOLTS求人件数(10/3)、ノーベル化学賞発表、米9月ADP全米雇用リポート、米8月製造業受注、米9月ISM非製造業指数(10/4)、ノーベル文学賞発表、米8月貿易収支(10/5)、ノーベル平和賞発表、米9月雇用統計、米8月消費者信用残高(10/6)などがある。
なお、中国本土市場は国慶節のため10/6まで休場となる。
今週の注目銘柄!(10/2〜10/6)
銘柄 |
銘柄名 |
目標株価(円) |
ロスカット |
注目ポイント |
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1861 | 4,000 | 3,280 | 9月に入って値動きが良くなっており、9/21には3,615円まで上昇して年初来高値を更新した。相場全体の軟調な中でも10日移動平均線を支持に底堅く、年初来高値更新がみえてきた。9月の月足ローソク足は実体の長い陽線となり、6カ月連続での陽線を形成。今月の上昇で2021年3月につけた戻り高値の3,295円を超えてきた。それでもPBRは1倍割れで、過熱感は乏しい。4,000円近辺までは抵抗となりそうな水準が少なく、上値追いの流れが続くと予想する。ターゲットは4,000円、ロスカットは3,280円 | |
3778 | 1,600 | 1,010 | データセンター独立系大手。6月に同社のスパコン整備に国が補助すると伝わった。急騰後は過熱感から売られたが、75日移動平均線をサポートに反発している。2024年3月期1Qは先行投資などにより大幅な営業減益となったものの、大型投資による将来的な業績拡大期待は続くと考える。75日移動平均線から反発した後は、10日移動平均線が25日移動平均線を上回るゴールデンクロスを形成。8月後半からはもみ合いが続いている。ストキャスティクスなどのオシレータ指標に過熱感はなく、9月前半高値からの調整局面は押し目買いのチャンスとみられる。信用倍率は1.3倍程度に改善しており、需給面からの不安材料はない。短期的には上放れにつながる展開が予想される。ターゲットは1,600円、ロスカットは1,010円 | |
2354 | 1,020 | 560 | 安川電機の持分法適用会社で、システム構築などを手掛ける。物流の2024年問題が迫る中、岸田首相が9/28に対策をまとめると表明。同社の事業では倉庫自動化システムといった物流DXが好調であり、国の支援を追い風にニーズがさらに高まると考えられる。好調な業績を背景に、6月後半から株価が大きく上昇。8月に740円の高値を付けた後は地合いの軟化もあって調整に入った。ただ、上昇トレンドが崩れるような下落にはならず、25日移動平均線を割れるとすかさず買いが入っている。対策への期待が高まる中で、モメンタムがプラス圏に浮上したことから買い場とみる。ターゲットは1,020円、ロスカットは560円 | |
5019 | 4,000 | 3,180 | 原油価格の上昇を追い風に9月に入って上昇基調を強めた。9/15に3,741円まで上昇した後の調整局面だが、25日移動平均線付近まで下げてきており、押し目買いのタイミングか。現状、PBRは1倍を大きく割り込んでおり、PERは10倍近辺で、予想配当利回りは3%を超える。当面は割安修正が期待できる局面だ。中期では昨年6月の4,035円からの下げトレンドを完全に脱した格好となっている。2018年10月には6,430円の高値があり、ここからの上昇余地も大きいと判断。インフレ下で買える銘柄との評価が高まり、昨年6月高値に向けて水準を切り上げると予想する。ターゲットは4,000円、ロスカットは3,180円 | |
8273 | 5,100 | 3,610 | 中四国や九州を中心にスーパーを展開する。日経平均株価が足元で調整色を強める中、そのあおりを受けることなく、9/26は年初来高値を更新した。スーパーという業態がディフェンシブ性もある点で選好されやすいという要素があると思われるが、株価の基調は強い。7月に発表された2024年2月期1Q決算では、営業利益が前年同期比3.6%増の81.5億円と増益を達成。この1Q決算を確認した辺りから上向きのトレンドが鮮明になってきた。上期の計画は142億円で、1Qの実績からは上振れへの期待も高まる。10/10に上期決算発表を予定しており、そこに向けて水準を切り上げる動きが続くと予想する。ターゲットは5,100円、ロスカットは3,610円 |
出所:DZHフィナンシャルリサーチが作成
- 注目銘柄採用基準・・・9/29現在、プライム・スタンダード市場に上場、時価総額が100億円以上、PBRが5.0倍程度以下、株価が75日・100日・200日移動平均線を上回っている中から、業績面や成長性、話題性など総合的に考慮した上でピックアップした。
- 「目標株価(円)」・・・一目均衡表分析の値幅観測やフィボナッチ、株価の過去の節目などを基準に総合判断。
- 「ロスカット株価(円)」・・・一目均衡表や移動平均線、株価の過去の節目などを用い総合判断。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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