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2024-05-02 09:17:35

より運営が困難になるOPECプラス

2023/12/6
提供:株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)

11月30日に開催されたOPECプラスは、事前にニュースで流れていた観測報道の▲100万バレル超の協調減産合意ではなく、2024年1月から3月まで有志国合計で▲220万バレルの自主減産を実施することになった。報じられているように、ナイジェリアやアンゴラが協調減産に強硬に反対したことによる。

リーマンショック後のOPECはそのあり方について迷走していた。OPECは原油市場においてはスイング・サプライヤー(最後の出し手)のポジションにあり、供給量を調整することで価格を安定させる役割を担っていた。しかし、リーマンショックの2〜3年前頃から米国で本格的にシェールオイルの開発が始まり、「地政学的リスクのない地域で、低コストでの原油生産が可能」になった。現時点でこのシェールオイルの大規模生産が可能なのは米国だけである。そしてこのシェール革命で重要なのは、地政学的リスクを考慮することなく経済合理性があれば原油を増産できるようになった点である。これにより、OPECがかつてのように減産して価格を上昇させるとシェールオイル生産者が速やかに増産してしまい(と言っても6ヵ月程度は掛かったのだが)、減産効果が相殺されてしまうようになった。この動きを覆したのが2014年「OPECショック」である。このときのOPEC総会は、原油価格下落を阻止するためにOPECが減産をするのではと見られていた。しかし、蓋を開けてみればOPECの需要予測を100万バレル上回る3,000万バレルの生産枠を維持すると発表、原油価格が急落した。狙いはシェールオイル生産者の増産を防ぐことが目的だったと見られる。その後、OPECも価格防衛能力が低下していることに対応する必要性を感じたため、ロシアを中心とする「非OPEC諸国」をOPECメンバーに迎え入れ、OPECプラスの体制が構築された。

これにより生産シェアが6割に上昇したため(2022年時点では54.9%)、価格支配力は格段に増すことになった。また2020年のコロナショック以降、直接的にコロナと関係無いのだが脱炭素の動きが加速、非OPEC諸国、特に欧米の原油上流部門投資が減少し、結果的にOPECプラスのシェアはさらに上昇。この後、2021年に世界を襲った異常気象、2022年のロシアのウクライナへの軍事侵攻、ガザ紛争勃発によってさらに原油価格は上昇した。

しかし、原油価格を決定するのは結局需要動向であり、景気動向である。原油価格高騰もその遠因であるが世界的にインフレが深刻になったため、各国中銀がインフレ抑制のための高金利政策を採用、2023年12月現在、世界の景気には下向きの圧力が掛かっている状況であり、原油価格には下押し圧力が掛かっている。この状況でOPECプラスが減産に踏み切るかどうかに注目が集まっていたわけだが、上述の通り協調減産では合意できなかった。そして過去にもみられた事であるが、景気が減速して原油価格が下落すると原油販売による収入を確保するため、むしろ増産バイアスが掛かりやすくなる。これを抑制するために協調減産の形を取りたかった訳だが、今回は有志国しか減産を追加で行わない。そのため、「実質合意していないのと同じ」と見做された可能性が高い。今回ブラジルも新しくOPECプラスに加盟することになる見通しだが、参加国が増加することはそのまま合意に至るのがより困難になることを意味する。シェアが大きくなると減産で合意できれば価格押し上げ圧力がシェアが低い時よりも強まるが、逆に合意できなければシェアが大きいが故に価格下押し圧力がより強まることになる。言葉を換えると、合意しやすいのはむしろ景気が良好で価格が上がりそうな局面、合意し難いのは景気が減速して価格が下落しそうな局面、とも言えるだろうか。

出所:CME、米供給管理協会

原油価格は最大消費国である米国の景況感の影響を受けやすく、ISM製造業指数の原油価格に対する説明力は高いが、グラフの通りISM製造業指数から原油価格は乖離している。これはコロナショック以降の景気回復と、OPECプラスの減産が守られていたことと、脱炭素による非OPECプラスの増産が限定されていたことによるものだ。しかし、上述の通り、今後、OPECプラスが減産を遵守できるのか不透明である。今後の原油価格は特に米国の景況感に左右されるが、仮にISM製造業指数の改善が続けば減産の影響で価格は上昇するリスクが高まり、ISM製造業指数が減速すればOPECプラスの結束が逆に乱れ、水準を切下げるリスクが高まると言えるだろう。このとき、ISM製造業指数と原油価格の乖離が大きいため、大幅な下落となるリスクは無視できない。

株式会社マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA) 新村 直弘
1994年東京大学工学部精密機械工学科卒。日本興業銀行入行、本店金融市場営業部でコモディティ・デリバティブ開発を担当。国内製造業、金融機関をはじめ幅広い業種に対する価格リスクマネジメントの提案業務に従事。
バークレイズ・キャピタル証券、ドイツ証券を経て2010年5月、企業向け価格リスク制御のアドバイスを専業とする株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立、代表取締役に就任。テレビ東京やNHK、日経CNBC等でコメンテーターを務める。
また日経新聞、週刊ダイヤモンド、東洋経済、エコノミスト等のメディアにも多数寄稿。
日本アナリスト協会検定会員、資源エネルギー学会会員
著書:
『調達・購買・財務担当者のための原材料の市場分析入門』(ダイヤモンド社)
『コモディティ・デリバティブのすべて』(きんざい)
『天候デリバティブのすべて―金融工学の応用と実践』(東京電機大学出版)

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