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金は弱い米経済指標によるドル安が支援
2023/1/23
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は中国の春節による需要回復の見方も支援要因
1月17日の週のニューヨーク金市場は、米金融当局者のタカ派発言を受けて調整局面を迎えたが、弱い米経済指標を受けてドル安に振れると、押し目を買われた。中心限月となる2月限は昨年4月以来の高値1,939.0ドルを付けた。米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は、米連邦準備理事会(FRB)はインフレ抑制に向け、政策金利を5.00〜5.25%のレンジを「やや」上回る水準に引き上げる必要があると述べた。米セントルイス地区連銀のブラード総裁は、利上げ打ち止め前に政策金利を「可能な限り迅速に」5%を上回る水準に引き上げるべきと述べた。米ボストン地区連銀のコリンズ総裁は、米FRBはおそらく5%を「やや上回る」水準に政策金利を引き上げる必要があると述べた。
12月の米小売売上高は前月比1.1%減と2カ月連続で減少し、個人消費が弱含んでいることを示した。米生産者物価指数(PPI)は同0.5%下落し、事前予想の0.1%下落)を下回った。米住宅着工件数は同1.4%減の138万2,000戸、建設許可件数は同1.6%減の133万戸となった。米中古住宅販売戸数は同1.5%減の402万戸と2010年11月以来の低水準となった。11カ月連続で減少した。1月のニューヨーク連銀製造業業況指数はマイナス32.9(前月マイナス11.2)に急低下した。フィラデルフィア地区連銀業況指数はマイナス8.9(前月マイナス10.9)となった。米新規失業保険申請件数が19万件と事前予想の21万4,000件を下回り、労働市場のひっ迫に対する懸念が残るが、弱い米経済指標を受けて景気減速の見方が強まった。
中国金協会(CGA)によると、2022年の同国の金需要は前年比10.6%減の1,001.7トンとなった。新型コロナウイルスの感染拡大が需要を抑える要因になった。ただ年初に価格が上昇しており、春節が需要回復のきっかけになる可能性があるという。金価格は地政学的リスクの先行き不透明感やインフレ懸念、中国人民元の軟調を受けて堅調に推移している。また中国の金プレミアムの上昇も指摘された。短期的には買われ過ぎで調整局面を迎える可能性があるが、押し目は買われ、上昇トレンドに変わりはないとみられている。
JPX金は円相場の行方が目先の焦点である。日銀金融政策決定会合で金融緩和が維持されたことを受けて円相場は1ドル=131円台の円安に振れたが、米連邦準備理事会(FRB)の利上げペース減速見通しなどを受けて円高が再開し、127円台まで戻した。市場ではイールドカーブ・コントロール(YCC)の再修正の見方が出ていたが、黒田日銀総裁は記者会見で、YCCは存続可能との見方を示し、長期金利の変動幅の拡大を否定した。また同総裁が20日、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)のパネル討論で、「極めて緩和的」な金融政策を継続すると述べると、130円台半ばまで円安に振れた。次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)では25ベーシスポイント(bp)利上げに減速するとみられており、円高に振れると、JPX金の上値を抑える要因になる。
1月20日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比4.92トン増の917.06トンとなった。米金融当局者のタカ派発言を受けて調整局面で押し目買いが入った。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月17日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは15万3,240枚となり、前週の15万0,535枚から拡大した。今回は新規買いが3,308枚、新規売りが603枚入り、2,705枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは利食い売りで調整局面
ニューヨーク・プラチナ4月限は、米金融当局者のタカ派発言に上値を抑えられると、景気後退懸念による利食い売りも圧迫要因となって調整局面を迎え、昨年12月28日の安値1,015.0ドルに顔合せした。ただ中国経済の再起期待や供給不足見通しが下支え要因であり、どの水準で安値拾いの買いが入るかを確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、19日のロンドンで14.00トン(前週末13.87トン)、20日のニューヨークで32.21トン(同32.50トン)、19日の南アで9.65トン(同9.62トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月17日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万3,544枚となり、前週の3万0,702枚から縮小した。手じまいうり、新規売りが出た。
ニューヨーク金はドル安で昨年4月以来の高値
ニューヨーク金2月限は、米金融当局者のタカ派発言に上値を抑えられる場面も見られたが、弱い米経済指標によるドル安を受けて押し目を買われ、昨年4月以来の高値1,939.0ドルを付けた。戻り高値を更新し、テクニカル面で強気である。金ETF(上場投信)に押し目買いが入っており、引き続き買われると、2,000ドルの節目を目指す可能性がある。今週は第4四半期の米国内総生産(GDP)速報値などの発表がある。
1月23日からの週の注目ポイント
23日 | 中国、香港休場 | ☆ |
日銀金融政策決定会合議事要旨 | ☆☆☆ | |
米景気先行指数(12月) | ☆ | |
24日 | 中国、香港休場 | ☆ |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(1月速報) | ☆☆ | |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(1月速報) | ☆☆ | |
25日 | 中国、香港休場 | ☆ |
独ifo景況感指数(1月) | ☆☆ | |
カナダ銀行政策金利発表 | ☆☆☆ | |
26日 | 中国、オーストラリア休場 | ☆ |
南ア準備銀行政策金利発表 | ☆☆☆ | |
米国内総生産(10-12月期速報値) | ☆☆☆ | |
米卸売在庫(12月速報値) | ☆☆ | |
米耐久財受注(12月速報値) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米新築住宅販売(12月) | ☆☆☆ | |
27日 | 中国休場 | ☆ |
米個人所得・支出(12月) | ☆☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(1月確報値) | ☆☆ | |
米中古住宅販売仮契約指数(12月) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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