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金は米利上げ見通しや米債務上限問題の合意が圧迫
2023/5/29
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米雇用統計も焦点
5月22日の週のニューヨーク金市場は、堅調な米経済指標による米連邦準備理事会(FRB)の利上げ確率の上昇や、米債務上限問題の合意期待を受けて売り優勢となった。中心限月となる8月限は3月16日以来の安値1,954.7ドルを付けた。5月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は54.5と昨年4月以来の高水準となった。第1四半期の米国内総生産(GDP)改定値は前期比1.3%増と速報値の1.1%増から上方修正された。4月の個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.4%上昇、前年比4.4%上昇となり、前月の前月比0.1%上昇、前年比4.2%上昇から伸びが加速した。米セントルイス地区連銀のブラード総裁は、米FRBは年内に政策金利をさらに0.5%ポイント引き上げる必要があるかも知れないと述べた。CMEのフェドウォッチでは、6月の利上げ確率が64.2%(前週17.4%)に上昇した。今週は6月2日に5月の米雇用統計の発表がある。一方、米経済の次の焦点として、商業用不動産の行方が懸念されている。米地銀が商業用不動産への最大の貸し手だが、不動産向け融資の上限を上回っており、売却される可能性が出ている。
バイデン米大統領と共和党のマッカーシー下院議長は27日、連邦政府の債務上限を引き上げることで基本合意した。31日に議会で採決する見通しとなった。債務上限を2年間引き上げる一方、同期間の歳出を抑制する。米大統領は声明で、「合意は妥協の産物であり、全員が自分の望むものを手に入れられるわけではない。それが統治する者としての責任だ」とした。米財務省は26日、6月5日にも資金繰りに行き詰まり、債務不履行(デフォルト)に陥る可能性があるとした。一部の強硬派議員が反対するとみられており、採決の行方を確認したい。
トルコで28日行われた大統領選の決選投票で、現職エルドアン大統領の勝利が確実となった。同氏の得票率は52.1%となった。ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)のシニアアナリスト、クリスハン・ゴパウル氏は、同国の金準備は4月に80.8トン減少して491.2トンになったと述べた。同氏は国内の需要を満たすために売られた、とした。トルコでは昨年、インフレヘッジとして金が買われ、需要が急増したが、経常赤字が拡大したことから、2月に金輸入抑制の措置が採られ、3月には金準備が15トン売却された。エルドアン大統領の続投で政策に変わりはないとみられるが、金準備売却が続くと、下げ要因になる。
5月26日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比1.45トン減の941.29トンとなった。米債務上限問題の協議が続くなか、投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月23日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは16万0,732枚となり、前週の17万9,814枚から縮小した。今回は手じまい売りが1万9,101枚、買い戻しが19枚入り、1万9,082枚買い越し幅を縮小した。
NYプラチナはドル高やリスク回避で一段安
ニューヨーク・プラチナ7月限はドル高やリスク回避の動きを受けて売り優勢となり、4月13日以来の安値1,020.8ドルを付けた。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ確率が上昇するなか、米債務上限問題に対する懸念からリスク回避の動きとなった。ただバイデン米大統領と共和党のマッカーシー下院議長が基本合意しており、リスク選好の動きが戻ると、プラチナの下支えになるとみられる。当面は米議会での採決の行方を確認したい。一方、米消費者調査会社のJDパワーとLMCオートモーティブの報告書によると、5月の米新車販売台数は前年同月比15.6%増の130万台となる見込みとなった。欧州の新車販売も回復していることや、ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)が供給不足見通しを示していることも下支え要因である。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、25日のロンドンで13.49トン(前週末13.60トン)、26日のニューヨークで30.71トン(同30.14トン)、25日の南アで13.65トン(同13.65トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月23日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万7,479枚となり、前週の2万5,823枚から拡大した。新規買い、買い戻しが入った。
ニューヨーク金は米利上げ見通しなどで2カ月ぶりの安値
ニューヨーク金8月限は、堅調な米経済指標による米連邦準備理事会(FRB)の利上げ確率の上昇に加え、米債務上限問題の合意期待を受けて軟調となり、3月16日以来の安値1,954.7ドルを付けた。米大統領と米下院議長は27日、債務上限問題で基本合意した。31日に議会で採決される見通しである。また今週は6月2日に5月の米雇用統計の発表がある。
5月29日からの週の注目ポイント
29日 | ドイツ、スイス、英国、米国休場 | ☆ |
香港貿易収支(4月) | ☆ | |
30日 | 失業率(4月) | ☆☆ |
米S&Pケース・シラー住宅価格指数(3月) | ☆☆ | |
米消費者信頼感指数(5月) | ☆☆ | |
31日 | 鉱工業生産指数(4月速報) | ☆☆ |
中国製造業購買担当者景況指数(5月) | ☆☆ | |
中国非製造業購買担当者景況指数(5月) | ☆☆ | |
独消費者物価指数(5月速報) | ☆☆ | |
シカゴ購買部協会景気指数(5月) | ☆☆ | |
米地区連銀経済報告(ベージュブック) | ☆☆ | |
1日 | 中国財新製造業購買担当者景況指数(5月) | ☆☆ |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(5月確報) | ☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(5月速報) | ☆☆☆ | |
ADP全米雇用報告(5月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米ISM製造業景況指数(5月) | ☆☆☆ | |
2日 | 米雇用統計(5月) | ☆☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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