投資信託の税制
課税方法および税率
投資信託にかかる税金の課税方法や税率は、投資信託の売却(解約)・買取請求と分配金とで異なります。
項目 | 所得 | 課税方法 | 税率 | 補足 |
売却(解約) 買取請求 | 譲渡 所得 | 申告分離課税 |
利益に対して 所得税15.315% 住民税5% |
ー |
普通分配金 | 配当 所得 | 源泉徴収 | 分配金額に対して 所得税15.315% 住民税5% |
支払い時に税金を徴収しているため、確定申告不要 |
総合課税 | 他所得と合算して計算 (累進課税) 15〜55% |
「配当控除」の適用が可能ですが、確定申告が必要となります。 | ||
申告分離課税 | 利益と分配の通算利益に対して 所得税15.315% 住民税5% |
株式等の損益と通算することができますが、確定申告が必要となります。 | ||
元本払戻金 (特別分配金) | ー | ー | 非課税 | お客さまの元本を払い戻しています。 |
- ※所得税15.315%の表記は、2037年12月末までの復興特別所得税(2.1%)が上乗せされています。
売却(解約)・買取請求にかかる税金
基本的な考え方
投資信託の売却(解約)・買取請求にかかる税金は、お客さまが売却(解約)・買取請求した際に利益が発生している場合にかかります。
■税金がかかるケース(利益が発生)
例えば、
■税金がかからないケース(損失が発生)
例えば、
複数回に分けて購入していた場合(金額買付での取引の場合)
投資信託を”金額指定”により買付/売却される場合でも、買付時/売却時の”基準価額”で計算された”口数”で取引されます。
複数回に分けた場合でも、買付時ごとの”基準価額”で計算された”口数”で平均を算出のうえ、売却時に損益を計算します。
例えば、
分配金にかかる税金
”普通分配金”と”元本払戻金(特別分配金)”の違い
お客さまに支払われる分配金は、投資信託の運用上得られた利益から支払われる”普通分配金”と、お客さまの元本を切り崩して払い戻しする”元本払戻金(特別分配金)”の2種類があります。
”普通分配金”は税金が徴収されますが、”元本払戻金(特別分配金)”については税金の徴収はありません(非課税)。
※特別分配金は「元本の払い戻し(利益ではない)」という考え方なので、課税されませんが、保有している投資信託の個別元本や平均取得単価は元本払戻金(特別配当金)相当額分だけ減算され修正されます。
例えば、
運用会社より、分配金100,000円が支払われたとすると、
支払われた分配金100,000円のうち、普通分配金と元本払戻金(特別分配金)の内訳を算出のうえ、普通分配金に対しては20.315%の税金額を徴収、元本払戻金(特別分配金)に対しては非課税で計算します。
”普通分配金”と”元本払戻金(特別分配金)”の内訳と計算方法
”普通分配金”と”元本払戻金(特別分配金)”の内訳は、お客さまがいくらで投資信託を購入していたか(個別元本といいます)によって、異なります。
■”普通分配金”のみとなるケース
例えば、
■”普通分配金”と”元本払戻金(特別分配金)”の両方となるケース
例えば、
受け取った分配金を確定申告する必要がありますか
普通分配金はNISA預りを除いて、税金は引いてお支払いしてますので、原則確定申告不要ですが、確定申告により株式等の損失との通算ができたり、配当控除の適用を受けることができる場合があります。
適用をする場合は、以下”申告分離課税※”または”総合課税”での確定申告が必要です。
- ※申告分離課税での申告の場合、一定の条件を満たすことで確定申告は不要となります。
【申告分離課税】普通分配金と株式等の売買の損失の通算する。条件を満たせば確定申告不要
普通分配金は原則、全額利益としてみなされていますが、株式、投資信託等の売買において、損失を出している場合は、普通分配金の利益分と売買による損失分を損益通算することができます。
⇒損益通算することで、普通分配金に対して徴収された税金の一部、または全部が還付されます。
例えば、
■確定申告不要なケース
以下の条件を満たしている方は、株式、投資信託等の売買の損失と普通分配金の通算は、SBI証券が行いますので、確定申告不要です。
”特定口座(源泉徴収あり)”で取引されている
- ※損益通算の対象となる損失は、特定預りでお取引いただいている分となります。(一般預りでのお取引、特定口座対象外の商品は通算いたしません。)
配当控除の適用をご検討のお客さま確定申告要
配当控除とは、一般的には国内株式の配当金にかかる二重課税を調整する制度です。
ただし、投資信託についても銘柄によっては、国内株式を運用している投資信託もありますので、お客さまの保有している投資信託によっては、配当控除が適用される場合もあります。
■配当控除を適用できるかどうかの見分け方
毎年1月中旬頃に発行される”特定口座年間取引報告書”、または”支払通知書”にて確認できます。
なお、特定口座年間取引報告書は、特定口座で取引されている方のみ発行されますので、一般口座で取引いただいているお客さまは、支払通知書でご確認ください。
①収益の分配/特別分配金 |
・配当控除の対象は「収益の分配」のみです。 ※特別分配金は対象外です。 ※「収益の分配」とは普通分配金のことです。 |
②摘要 |
・外貨建株式割合、非株式割合が「制限なし」、「規定なし」の場合は、対象外です。 ・「制限なし」、「規定なし」の記載がなく、割合が「75%以下」の場合、対象となります。(割合の記載がない場合も対象となります。) |
二重課税の調整条件を満たせば確定申告不要
配当控除とは異なり、お客さまが保有されている投資信託が、海外の資産に投資している場合、
既に海外で課税された配当等に対して内外での二重課税が生じないよう、投資信託を経由して支払った外国所得税は分配金に係る源泉所得税の額から控除できるよう調整措置がとられています。
(お客さま自身での手続きは必要ありません)
■実際にどれくらい控除されたか確認する方法
二重課税に対してどれくらい控除されたかは、お客さまに交付している報告書にて確認できます。
投資信託の分配金を”再投資”設定しているお客さまのサンプル
損失を出した場合どうすればいいの?(繰越控除)
損失に対して、税金が発生することはありませんので、お客さまに手続きいただくことはありませんが、
翌年以降に損失を繰り越すことで、翌年以降利益が発生した場合でも繰り越した損失と損益通算ができる制度があります。
【繰越控除】最大3年間、損失を繰り越すことができる。確定申告要
当年で損失が発生した場合、確定申告をすることで最大3年間損失を繰り越すことができます。
なお、繰越控除を適用する場合には、毎年確定申告が必要です。
(例)当年の損失合計が▲900万円(=売買の損失▲1,000万円+分配金100万円)となった場合
本来翌年以降で利益が出ているので、税金がかかりますが、当年の損失(▲900万円)を繰り越すことで、翌年以降の損益と通算することができ、損失繰越を行っていなければかかるはずだった税金がかからなくなります。
損益の確認方法
損益の確認方法は、お客さまの取引された口座によって異なります。
取引された口座 | 損益の確認 | 画面 |
特定口座 (特定預り) |
・損益の計算はSBI証券で行います。 ・右記「譲渡益税明細」画面にて、損益の確認が可能です。 |
譲渡益税明細 |
特定口座 (一般預り) |
・損益の計算は行っておりませんので、損益はご自身で計算いただきます。 ・右記「約定履歴」画面で各取引ごとの明細をご確認いただくか、取引の都度発行している取引報告書でご確認ください。 |
約定履歴 |
一般口座 | ||
NISA口座 |
・2024年から開始した「新NISA」と、2023年までの「旧NISA」とで確認できる画面が異なります。 |
新NISA損益
旧NISA損益 |
■口座に関わらず、これまでの分配金を加味した損益を確認されたい方は、「トータルリターン」を活用ください。
トータルリターン | ・分配金の受取を加味したトータルの損益を算出してます。 |
よくあるご質問
ご注意事項
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税務上のご相談・助言等は、税理士にお願いいたします
お客さまの個別資産状況に関する税務のご相談は、税理士法によりお答えすることができませんので予めご了承ください。 -
特定口座制度および各種税制等は、今後変更される可能性があります
最終的な判断および決定は、お客さまご自身の責任でお願いいたします。 -
税制等の詳細につきましては所轄の税務署にご確認ください
税務当局が現行法令について本項で述べた取扱いとは異なる解釈をし、取扱いが上記と異なる可能性があります。