2025年7月7日〜2025年7月11日
更新 : 2025/7/4 18:00
(通常毎週金曜日夜更新)
相場の「不思議な強さ」見定める試金石、ETFイベントに注意
今週の株式見通し
主要指標の推移 | 日経平均株価 | 39810.88 (前週末比 -339.91) | TOPIX | 2827.95(前週末比 -12.59) |
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日本株相場は週初の日経平均株価の高値をピークに上昇の反動が強まったものの、大きな調整には至らなかった。来週は指数連動型ETF絡みの大規模売りの発生が見込まれ、それでも値が保たれれば売り方のフラストレーションはさらに高まる。一方、参院選の情勢調査も報じられ始める可能性があり、警戒感を持っておく必要がある。
足元の相場の底堅さの本質を探る上で、来週のETF決算は絶好の試金石になる。日経平均とTOPIXをベンチマークにするETFの決算が8、10日に予定され、分配金ねん出による計1.5兆円規模の売りが想定される。これをきっかけした指数の下落転換をイメージする投資家は多く、買い控えやカラ売り、先物ショートの蓄積に結び付いてきたとみられる。ただ、その結果として全体の需給は改善する中で、根強い外国人買いが相場を支えてきた面がある。指数がETF分配金ねん出を受けても変調を来たさなければ、売り方は再考を迫られる。また、FRBの利下げ期待も残り、海外勢の日本株のウエート拡大余地は依然として大きいのかもしれない。
ただ、それでも日本株の前途には難局が控えている。米国との関税交渉は進展が見えず、直近のトランプ米大統領や両国高官の発言は先行きを悲観するのに十分な材料だ。相互関税の猶予期限は9日に迫る。20日投開票の参院選も大きな逆風になりかねない。前哨戦の東京都議会選で自民党は大敗し、直近の世論調査においても人気回復は限定的だ。消費税の引き下げ・撤廃を目指す野党一部は、財源としての大企業への増税や防衛費削減、金融所得課税強化に意欲をにじませる。
早ければ来週にも主要メディアが最初の参院選の情勢調査を報じる。与党大敗を示唆する内容となれば、将来的な政権交代まで視野に入る。もっとも、石破首相の辞任を織り込む雰囲気になれば、次期首相をめぐる期待感が醸成される可能性はある。
日経平均の予想レンジは前回と同じ3万9,000〜4万1,000円とする。
注目材料・為替
7月米利下げ観測は後退、「相互関税」上乗せ猶予期限迫る
予想レンジ:1ドル=142円50銭−146円50銭
6月30日−7月3日のドル・円は上昇した。週初6月30日は、FRB(米連邦準備制度理事会)の早期利下げ観測がくすぶる中で下落歩調。7月1日、6月調査の日銀短観で大企業・製造業の景況感が2四半期ぶりに改善し、円買い・ドル売りに傾いた。その後、米6月ISM(供給管理協会)製造業景況指数、米5月JOLT求人件数が市場予想を上回り反発した。翌2日にかけて上昇が続くも、米6月ADP(オートマチック・データ・プロセッシング)雇用統計がマイナスとなり下落。3日、米6月雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想に反して増加するとともに、失業率が低下し、ドル・円は急伸した。なお、週末4日の米国は独立記念日で休場。
雇用統計の思いのほか強い結果を受けて米国の早期利下げ観測はトーンダウンし、市場の一部でくすぶっていた7月利下げの思惑はほぼ払拭された格好だ。金融市場は次回9月会合での利下げの有無をうかがう局面に移行する。また、現地3日にはトランプ米大統領の大型減税法案が米下院でも可決。米政府の財政悪化が意識されれば米金利が強含み、ドルを支える可能性がある。こうした状況下、9日にはトランプ政権が打ち出した「相互関税」上乗せ分の一時停止期限を迎える。トランプ米大統領は猶予期間の再延長はないとけん制するが、日本を含む各国との間で劇的な合意に至るとは考えがたく、ドル・円の波乱要因になりそうだ。経済指標では米6月財政収支などが発表予定で、6月開催分FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨も公表される。その他、米国債の入札結果などにも注意したい。
ドル・円はチャート上で、100日移動平均線の1ドル=146.09円(7月3日基準)の上抜けを試す展開。下方向では、直近安値142.69円(7月1日)が下値メドとなる。
週間タイムテーブル
国内 | 海外 | |
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7月7日(月) |
5月毎月勤労統計調査=8時30分 5月景気動向指数=14時 |
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7月8日(火) |
6月景気ウオッチャー調査=14時 5年国債入札 |
豪州準備銀行理事会 EU財務相会合、ブルガリアのユーロ参加を承認へ 米5月消費者信用残高=9日4時 米3年国債入札 |
7月9日(水) |
6月マネーストック=8時50分 6月工作機械受注=15時 |
中国6月生産者物価=10時30分 中国6月消費者物価=10時30分 6月17・18日開催のFOMC議事録=10日3時 米10年国債入札 米政府、日本への相互関税上乗せ分「90日間」停止の期限 |
7月10日(木) |
6月国内企業物価指数=8時50分 20年国債入札 地域経済報告(さくらレポート) ◆決算発表:ファストリテ(9983)、7&iHD(3382) |
米30年国債入札 |
7月11日(金) |
オプションSQ ◆決算発表:イオン(8267)、良品計画(7453) |
米6月財政収支=12日3時 |
- ※ 海外の時刻は日本時間。