2024年7月29日〜2024年8月2日
更新 : 2024/7/26 18:00
(通常毎週金曜日夜更新)
目先反発期待も戻り売り意識、日米中銀イベント控える
今週の株式見通し
主要指標の推移 | 日経平均株価 | 37667.41 (前週末比 -2396.38) | TOPIX | 2699.54(前週末比 -161.29) |
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今週は外国為替市場でダイナミックに円高が進む中、日本株から急激に資金が退避していった。日経平均株価はショック症状的な急落劇に見舞われたが、ひとまずそれなりの水準に到達したとみる。目先は日銀の金融政策決定会合に絡んで反発の動きも想定されるが、本格的な出直りには時間を要する可能性がある。
株安の直接的な原因となった円高は、来週30、31日に開かれる日銀会合の前後での一服があり得そうだ。一部で見込まれている追加利上げの準備が万端とは考えにくく、金利据え置きによって円買いポジションが巻き戻される展開が視野に入る。日銀は国債買い入れ減額の計画を発表するが、これまでの植田総裁の発言を踏まえると想定内の規模に落ち着くとみられる。また、仮に利上げが強行された場合も、既にマーケットが大きく動いた後だけに出尽くし感が広がりそうだ。
来週は米国でも現地30、31日にFOMCが予定されている。円高を招いた日米金利差の縮小観測は、日銀の追加利上げとFRBの早期利下げを意識したもの。ただ、FRBの9月利下げへ向けた地ならしが滞れば、そうしたシナリオも後退するだろう。また、利下げ確度を高める内容でも、株式には好材料が勝ると思われる。
もっとも、日本株は需給的な問題に加えて、米国の景気や大統領選をめぐる不透明感をこなしていく必要がある。8月2日には米7月雇用統計の発表が控える。ここ数カ月失業率が上昇基調にあり、今回も市場予想(前月並みの4.1%)に反して悪化するようならば、早期利下げ期待以上にハードランディングへの懸念が強まる恐れがある。
こうした中、日経平均は一時的な浮上と足踏み・後退を繰り返す局面を迎えるかもしれない。3万8,000円を挟んだもみ合いとなれば、下値は4月安値に近い3万7,000円前後か。また、4〜6月のもみ合いでは75日移動平均線が上値の抵抗線となった。来週に関しては、円安とともに日経平均が戻りを試す展開を見込み、予想レンジは3万7,000〜3万8,500円とする。
注目材料・為替
日銀金融政策決定会合が焦点、利上げ見送りでも戻り限定的か
予想レンジ:1ドル=150円00銭−157円20銭
22−26日のドル・円は下落した。21日にバイデン米大統領が11月の米大統領選からの撤退と、後継候補としてハリス米副大統領の支持を表明。週明け22日は、トランプ前米大統領の再選の可能性がやや低下したとの見方がドル売り・円買いを誘った。23日は、前日に自民党の茂木敏充幹事長が日銀の利上げに言及したことを材料に日米の金利差縮小を見込んだドル売り・円買いが重しに。24日は、一部で日銀が30−31日の金融政策決定会合で追加利上げについて議論すると報じられ、下げ幅を拡大した。25日は、日本株の大幅安を背景にリスクオフの円買いが加速したが、その後は市場予想を上回る米4−6月期GDP(国内総生産)速報値を受けてドルがやや買い戻された。
来週(7月29日−8月2日)は、30−31日の日銀金融政策決定会合が最大の焦点となる。前週の河野太郎デジタル相に続いて茂木幹事長からも「日銀に対する注文」が聞かれ、追加利上げ観測が高まっている。一方、日銀が利上げに踏み切るために必要な賃金の上昇が確認されていないため、今回は見送られるとの見方もある。期待先行の面も否めず、利上げが見送られた場合はドルを買い戻す動きが加速しそうだ。
ただ、そうなった場合でもドル・円の上値は限られそう。週内のドル安・円高は日銀の金融政策に対する思惑のほか、米大統領選の行方もある。米大統領選に関する世論調査では、減税策を掲げてドル高が進むとみられていたトランプ前大統領の支持率が低下し、ハリス副大統領の支持率が拮抗している。
また、米国では9月の利下げ観測が高まっており、仮に日銀が来週の会合で利上げを見送ったとしても、9月利下げの可能性が残されている間は日米の金利差縮小を見込んだ動きが継続すると考えられる。
ドル・円の上値メドは13週移動平均線の157円20銭近辺、下値メドは心理的フシ目の150円ちょうど近辺。日銀金融政策決定会合の結果次第で大きくブレる可能性があるため、レンジを広めに取りたい。
週間タイムテーブル
国内 | 海外 | |
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7月29日(月) | ◆決算発表=コマツ(6301)、ファナック(6954) ◆新規上場=Liberaware(218A) |
◆決算発表=(米国)F5、マクドナルド、オン・セミコンダクター |
7月30日(火) |
日銀金融政策決定会合(〜31日) 6月失業率・有効求人倍率=8時30分 ◆決算発表=OLC(4661)、村田製(6981)、TDK(6762)、NEC(6701)、JR東海(9022)、野村(8604)、三住トラスト(8309)、JPX(8697) ◆新規上場=Heartseed(219A) |
ユーロ圏4〜6月期GDP=18時 独4〜6月期GDP=17時 FOMC(〜31日) 米5月FHFA住宅価格指数=22時 米5月S&PコアロジックCS住宅価格指数=22時 米6月JOLTS求人件数=23時 米7月CB消費者信頼感指数=23時 ◆決算発表=(欧州)エアバス、ロレアル、テレパフォーマンス、(米国)アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、アリスタネットワークス、エレクトロニック・アーツ、コーニング、メルク、マイクロソフト、ファイザー、プロクター・アンド・ギャンブル、ピンタレスト、ペイパル・ホールディングス、スターバックス、ザイレム |
7月31日(水) |
植田日銀総裁会見 日銀「経済・物価情勢の展望」(展望レポート) 6月鉱工業生産=8時50分 6月商業動態統計=8時50分 7月消費動向調査=14時 ◆決算発表=日立(6501)、第一三共(4568)、みずほ(8411)、デンソー(6902)、武田薬(4502)、三菱電(6503)、住友商(8053)、アドバンテス(6857)、JR東日本(9020) ◆新規上場=Faber Company(220A) |
中国7月コンポジットPMI、製造業PMI、非製造業PMI=10時30分 パウエルFRB議長会見 米7月ADP雇用統計=21時15分 米6月中古住宅販売仮契約=23時 ブラジル中銀政策金利発表 ◆決算発表=(アジア)サムスン電子、(欧州)アマデウスITグループ、ARM Holdings、(米国)アルベマール、ADP、アメリカン・ウォーター・ワークス、ボーイング、コグネックス、コルテバ、メタ・プラットフォームズ、マスターカード、マリオット・インターナショナル、クアルコム |
8月1日(木) | ◆決算発表=トヨタ(7203)、三菱UFJ(8306)、三菱商(8058)、三井物(8031)、HOYA(7741)、丸紅(8002)、日本製鉄(5401)、アステラス薬(4503)、京セラ(6971) |
中国7月Caixin製造業PMI=10時45分 ユーロ圏6月失業率=18時 英金融政策委員会(四半期の景気見通し改訂) 米7月ISM製造業景況指数=23時 ◆決算発表=(欧州)フェラーリ、シェル、サルバトーレ・フェラガモ、ヴォノヴィア、(米国)アップル、バイオジェン、ボール、インテル、ケラノバ、Mobileye Global、モデルナ、クアンタ・サービシーズ、レスメド、ブロック(旧スクエア)、アトラシアン、バーテックス・ファーマシューティカルズ、ブッキング・ホールディングス、アマゾン・ドット・コム |
8月2日(金) |
7月マネタリーベース=8時50分 ◆決算発表=三井住友(8316)、任天堂(7974)、KDDI(9433)、JT(2914)、LINEヤフ(4689) |
米7月雇用統計=21時30分 米6月製造業受注=23時 ◆決算発表=(米国)シェブロン、マグナ・インターナショナル、エクソンモービル |
- ※ 海外の時刻は日本時間。